5,000人規模の組織が、検討から1年でツールの安定運用を実現!
ここまでの内容を踏まえて、桐原氏は「ナレッジワーク」の導入成功事例を紹介した。
日本通運では、営業人員全体に対する「ナレッジワーク」の導入を短期間で実現した。ナレッジワークを「専門集団」ととらえ、ツールの活用はもちろんリーダーシップの発揮の仕方にいたるまで、ナレッジワークが持つノウハウやプロセスを積極的に取り入れたことが早期稼働につながったという。この取り組みの中で、日本通運はセールスイネーブルメント部を創設。営業支援への投資を確実に成功させるため、強いリーダーシップのもと営業DXを推進している。
みずほ銀行の事例においても、日本通運と共通する成功要因が見出せる。みずほ銀行では、検討開始からわずか1年で、法人営業5,000名という大規模な「ナレッジワーク」の利用拡大・安定運用を実現した。これまで桐原氏が支援してきた企業の中でも、非常に速いスピードで結果を出した事例だという。
この背景には、みずほ銀行が持つIT投資の経験ももちろんだが、ナレッジワークが提供する検討プロセスに沿って導入を推進したことがある。ナレッジワークは1,000名以上の企業をメインに「ナレッジワーク」を提供しているが、その平均検討期間は2.4ヵ月と非常に短い。それはナレッジワークが早期検討の実現を重視し、その知見やノウハウを蓄積しているからだ。日本通運とみずほ銀行のように早期に成果をあげる状態を目指すのであれば、自社のノウハウに固執し過ぎず、売り手が提供するベストプラクティスを取り入れる柔軟性が必要だと述べた。
しかし、売り手の知見を活用する際は必須条件があると桐原氏。まず、売り手は高い再現性を持つ検討プロセスを設計し、買い手へ提供しなければならない。個社ごとに検討プロセスを設計していては再現性が下がってしまう。ナレッジワークでは、過去の実績から理想的な検討プロセスを設計すると同時に、それらの検討プロセスを事例化して提示することで早期検討をあと押ししている。
一方、買い手はツール導入のたびに自社で検討プロセスを設計するのではなく、売り手の検討プロセスに従うことで早期検討が可能になる。その際、必要となるのがリスクチェックだ。桐原氏はシンプルに、導入実績と検討プロセスの事例があるかを売り手に聞くと良いとアドバイスし、セッションを締めくくった。
「確認を繰り返すウォーターフォール型の検討プロセスは、稼働まで必要以上の期間がかかってしまいます。改修を前提としたアジャイル型にシフトすることで、検討スピードは向上するでしょう。その中では、ときに『プロセスどおりに進めても、これ以上うまくいかなそうだ』と壁にぶつかるかもしれません。そのとき重要となるのが、売り手も買い手も検討停止を辞さない姿勢で臨むこと。双方に無駄な投資が起きないよう環境を整えて推進していくことが重要です」(桐原氏)