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2025年1月28日(火)13:00~18:20

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【才流×SB C&S 対談】SaaSパートナービジネスの架け橋となる「ディストリビューター」とは


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 IT業界を支える「パートナー(代理店)ビジネス」には、ディストリビューターと販売パートナー(リセラー)が存在する。ベンダーと販売パートナーの間をつなぐディストリビューターは、ベンダー、販売パートナー、エンドユーザー企業の三者を取り持ち、ビジネスを加速させる存在と言えるだろう。今回は、SaaSベンダーの製品も数多く取り扱うディストリビューターがどのような立ち位置でビジネスを行っているのか探るべく、才流 パートナー戦略コンサルタント 桂川誠さんが、SB C&S ICT事業本部 クラウドサービス推進本部 本部長 田中政和さんをたずねた。いったい、ディストリビューターは何を考え、どう行動しているのか──。

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【はじめに】ディストリビューターとは?

ディストリビューターの商流(引用元:才流)

 ディストリビューターは一次代理店にあたる存在だ。ベンダーと販売パートナー(リセラー)の間に入り、効率的な流通と販売チャネルを確保する。いわゆる「卸売業者」のイメージだ(上図参照)。

 ディストリビューターは数多くのベンダーと取引を行う。そのうえ、同一カテゴリーのプロダクトを複数のベンダーから仕入れることも多いため、販売パートナーから、エンドユーザー企業の課題解決の相談を持ちかけられることもある。また、ベンダーにとっては、ディストリビューターと提携することで、自社リソースだけでは届かない市場にも営業を拡大できるメリットがある。

 ベンダー、販売パートナー、そしてエンドユーザー企業といったITビジネスのさまざまなステークホルダーをつなぐ架け橋となるディストリビューターは、SaaSビジネスをより一層理解しやすく、アクセスしやすいものに変えてくれる

 連載「パートナーを理解する者がパートナービジネスを制する!」第2回めとなる今回は、国内トップクラスの販売ネットワークと技術・製品開発力を持つSB C&Sに、ディストリビューターとしての立ち位置や活動、マーケティングについて詳しい話をうかがった。

数年後を見据えた「SaaSビジネスへの注力」

桂川(才流) 本日はよろしくお願いします。私は、SaaSベンダーに対しパートナービジネスのコンサルティングをしている立場ですが、ベンダーの中には、パートナービジネスについてあまり知見がない企業さんもいらっしゃいます。

 今回は、パートナービジネスに深く関わるディストリビューターが、どのような立ち位置で、どのような活動をしているのか詳しく聞かせてください。

株式会社才流 コンサルタント 桂川誠さん

桂川 はじめに、田中さんのご経歴と、現在のお役割についてうかがえますか。

田中(SB C&S) 2003年に現SB C&Sに入社して以来、営業の世界に身を投じてきました。東京の営業部で部長を務めたのち、2015年に中部支社の支社長として名古屋に赴任して4年間を過ごし、2019年に東京に戻りました。営業統括部長として2年務め、2021年に現組織の母体となるSaaSの仕入れとマーケティングの部門に異動しました。

 その後、社としてSaaSビジネスのさらなる拡大を目指し、“ソフトウエアの仕入れ部門の中にあるひとつの課”という存在だったSaaS部門を、一気に統括部としてスタートさせました。少人数で立ち上がった部門でしたが、2023年4月にはクラウドサービス推進本部となり、現在、本部長を務めさせていただいています。

SB C&S株式会社 ICT事業本部 クラウドサービス推進本部 本部長 田中政和さん

桂川 幅広い製品を扱う中でも、SaaSへの注力度合いが高まっているのですね。ディストリビューター視点で見た、SaaS業界のパートナービジネスの現状とはどのようなものなのでしょうか。

田中 我々ディストリビューターにとって、SaaSビジネスの拡大は非常に重要であると考えています。

 2020年度の「SaaS利用実態調査レポート(※1)」によると、1企業あたりのSaaS利用数はアメリカでは平均80個、日本では10個にも満たない程度でした。しかし2022年度の調査(※2)では、11個以上利用する日本国内の企業が2020年度比で32.7%も増加しています。

 国内のSaaS市場は急速に拡大しており、今後も伸びていくと考えられるでしょう。数年後にはアメリカに近い数のSaaS製品が導入されると予測しています。

※1 引用元:株式会社メタップス「2020年度 SaaS利用実態調査レポート」

※2 引用元:株式会社メタップス「2022年度 SaaS利用実態調査レポート」

 このような状況の中、当社もディストリビューターとして積極的にSaaS製品を取り扱っていきたいと考えていますし、SaaSに注力したい販売パートナーも非常に増えてきている状況です。

桂川 ベンダーも、幅広いエンドユーザー企業に製品を届けるためにディストリビューターや販売パートナーと契約していきたいと考えているはずです。

 しかし、国内のSaaS製品すべてをディストリビューターや販売パートナーが取り扱うわけではないですよね。製品を選定するお立場としての、リアルなお話もうかがいたいです。

田中 ご存じのとおり、SaaSベンダーと販売パートナーの関係は、“子会社”でも、“関連企業”でもありません。ディストリビューターや販売パートナーにとって、ベンダーの製品はあくまでも“自社で取り扱う他社製品”という位置づけです。そのため、販売パートナー側にもメリットがあるかどうかが、選定する際の大きな判断材料になってきます。

 各社同様だと思いますが、とくに利益率は重要視しています。製品の品質や機能が良いことはもちろん大事ですが、販売パートナーもビジネスですから、利益を確保できる製品を販売したいのが現実です。

 そうした観点から見ると、桂川さんがこの連載の第1回の記事(「代理店が自社製品を売ってくれない問題」を解決するカギとは? 才流がパートナービジネスの実態を調査)で解説されていた3つのKSF(Key Success Factor=重要成功要因)は、まさにおっしゃるとおりであると感じました(※)。

※才流が掲げる「3つのKSF」とは、パートナービジネスを成功に導く3つの指標を指す。代理店は契約してもすぐに売ってくれるわけではないため、ベンダーは「代理店の事業にメリットがある」「代理店が儲かる」「代理店が売りやすい」という3つの指標にもとづき、代理店が製品を選定する理由づくりから始めると良い(引用元:才流)

桂川 3つのKSF以外に、取り扱う製品の選定基準はありますか。

田中 トレンドに合った製品ですね。最近だと、生成AIにまつわる製品、法改正に合わせたソリューションを提供できる製品などが挙げられます。トレンドを探しにイベントに頻繁に参加したり、データ収集や海外の視察なども行ったりしながら、売れる見込みのある製品を常に注視・検討しています。売れる見込みがあれば、我々からベンダーに提携をお願いすることもあります。

 また、少し別の観点ですが、新規お取り扱いを検討させていただく際に、「パートナー比率をどれくらいまで上げたいのか」など、ベンダーの“本気度”を問うことはあります。「今の比率から倍にしたい」「具体的に〇%まで上げたい」などの目標があると「そこに向けて一緒に頑張りましょう!」となりますね。

桂川 本気度やビジネスの解像度が高いと、パートナーとしても協業しやすそうですね。

次のページ
「販売パートナーが売りやすい」の意味とは? ヒントは、ベンダーの協力体制と関係性

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この記事の著者

猪飼 綾(イカイ アヤ)

キクカク及びライティングユニットおたばぶのライターとして、IT・機械技術を中心に、ものづくりから飲食まで幅広い分野で取材・執筆。また、読者に愛されて、積極的かつ継続的な購買につながるファンマーケティングの観点から、オウンドメディアの運用支援やSNS運用など、Webマーケティング、ブランディング支援を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

SalesZine編集部 宮地真里衣(セールスジンヘンシュウブ ミヤジマリイ)

新卒で営業職を経験したのち、編集プロダクションに転職し雑誌やウェブ広告の編集業務に携わる。2022年11月翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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