営業とカスタマーサクセスの「実情」と「役割」を比較
さて、今回のテーマについて考察する前に、営業とCSの実情と役割について整理してみましょう。 私の経験から、営業とCSの実情は次のようなものではないかと思います。
営業の実情 | CSの実情 |
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・営業数値を達成するために日々忙しい ・リードや商談数が足りない ・商談や見込み顧客対応がたいへん |
・顧客からの相談対応で日々忙しい ・サービスへの理解不足によるクレーム対応がたいへん ・解約防止や売上拡大に苦労している |
どちらの立場も目の前の業務や対応で手いっぱいのため、他者を思いやる余裕を持てていないと感じるシーンも多いのではないでしょうか。
営業もCSも、置かれた環境は違えど「適切な顧客に適切なサービスを提供することで、顧客が抱える課題を解決する」という目的は共通です。
もしわかりにくいようであれば、お店での買い物で想像してみてください。
たとえば、「リモートワーク用にAメーカーの軽いPCを買おう!」と電化製品コーナーに来たお客様に「画面が大きくて見やすいこの新商品は同じAメーカーなのでお勧めですよ」とすすめたり、「基本的な機能さえあれば良い」と考えるお客様に「過剰スペックなゲーミングPC」をすすめするのは適切な対応とは言えません。
また、適切な製品をおすすめできても、周辺機器や必須ソフトウェアなどについて、ニーズに合ったアドバイスができなければ、購入してもらったPCを正しく活用してもらえない可能性があります。
そこから考えると、営業とCSの役割は次のように区別できるのではないでしょうか。
営業の役割 | CSの役割 |
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・適切な顧客に適正なサービスを提案する ・顧客の課題と解決策を整理する ・顧客との関係性を構築する |
・課題と解決策の解像度を上げる ・状況変化に適切に対応する ・課題解決まで受け入れ続けられる準備をする |
パソコンを買いに行った先の店員さんの態度が悪かったり、具体的なニーズがあるのにその日着ていたものや「仕事で使いたくて」というわずかな情報だけで一方的に「でしたらこれが良いですよ」と的外れなおすすめをされたり、という状況では購入に踏み切れませんよね。
また、使用用途が購入時から大きく変わり、パソコンソフトや周辺機器をアップグレードしたくなるのもよくあることです。その際は、購入時からどう用途が変わったのか、何が必要になったのかをきちんと把握したうえでの適切な対応が求められるでしょう。そのために、どんな状況でも対応できるような知識や事前準備が必須なのです。
こうして役割を整理してみると、営業とCSの業務は似ているようで、実際に求められる知識やスキルは別物だとわかるでしょう。もしも営業からCS、また逆にCSから営業にキャリアチェンジをすることになった場合は、この視点をぜひ参考にしてみてください。