Web会議ツール「Zoom」と「Teams」のおすすめの使い方
デジタルツールやアプリの機能比較はよくあるが、その中に「このツールはこのような用途向き」というキャッチコピーのような一言があると理解が早くなるという経験をした方もいらっしゃるだろう。ここでは、まず結論から述べ、その後に詳細な比較を続けていくことにしたい。まずは、アプリの概要から始めよう。
Zoomとは?
Zoomとは、Zoom Video Communications社によるWeb会議ツールだ。Web会議をはじめとして、ウェビナー(Webセミナー)、ブレイクアウトルーム、チャット、ホワイトボードなどの機能がある。マルチデバイス対応で動作は軽くて速い。
Microsoft Teams とは?
Teamsとは、米ワシントン州に本社を構えるMicrosoft社のWeb会議ツールだ。Teamsはビジネスコミュニケーションツールとも呼ばれる多機能ツールで、Web会議はアプリ内の機能のひとつ。Zoomとほぼ同じ機能があるが、詳細については機能比較や記事末の一覧表に記載した。
ZoomとTeamsの違いからくるおすすめの使い方
Web会議の機能という点だけにフォーカスすると、両者に大きな違いは見当たらない。ZoomでWeb会議に招待された場合、外部ユーザーはURLをクリックするだけで参加可能だ。今はTeamsも外部ユーザーがTeamsアカウントを作成せずに参加できる。この点に両者の違いはないので、ZoomとTeamsのおすすめの使い方や向いている用途は、次のようになる。
Zoom
- オンラインイベントやウェビナーを開く場合
- Web会議を録画したい場合(Teams無料版では録画できない)
- Teams以外のビジネスコミュニケーションツールをすでに使っている場合
Teams
- Microsoft製品との連携を活用したい場合
- チャットやファイルの共有・編集、スケジュール管理など、ビジネス上のコミュニケーションをできるだけひとつのアプリにまとめたい場合
- 安全性の高い製品を使用したい場合
両者のいいとこ取りで、Teamsをすでに導入している企業が、Web会議のときにZoomを使うという方法もある。ただZoomの無料版はWeb会議の参加人数や開催時間に制限があるため、予算と相談ということになるだろう。
ZoomとTeamsのユーザー数や導入企業数の違い
ここでは、ZoomとTeamsのユーザー数や導入企業数の違いを見ていこう。機能面で大きな違いがない場合、ユーザー数や導入企業などが決め手になる可能性もある。
Zoomの公式ブログによると、Zoomの1日あたりミーティング参加者数は2020年4月の時点で、全世界で3億人に上ったと発表されている。また、Okta社の「Business at Work 2022」レポートには、2021年にもっとも成長したアプリとしてZoomが全世界で5位にランクインしたことを伝えた。
とくにアジア太平洋地域での成長が著しく、Zoomのユニークユーザー(UU)数で前年比231%増を記録したとしている。また、Google WorkspaceとSlack、Zoomの併用が好まれ、アジア太平洋地域だけでなく、ヨーロッパ、中東、アフリカ等地域での成長に加えて、スモールビジネスを営む人々の間で急速に拡大していると指摘した。
コロナ禍で、ZoomがWeb会議の時間制限を一時解除したことを覚えている方も少なくないだろう。その一方で会議荒らしが出没したことも記憶に新しいところだ。
Microsoft社の公式ブログによると、2022年3月時点でのTeamsの月間アクティブユーザー(MAU)数は2億7,000万人だ。一般的にアクティブユーザーとは、自社アプリやサイトを定期的に利用するユーザーのことで、ダウンロードだけや登録のみというユーザーを除いた人数とされる。Zoomと同様に、コロナ禍でユーザー数を大きく伸ばした。
導入企業についての情報は、2020年3月時点の情報で、アクティブユーザー1万人以上の会社が233社、Fortune100企業のうち91社がTeamsを利用していると発表している。
【無料版・有料版】ZoomとTeamsの機能比較
ZoomとTeamsの無料版・有料版にはどのような違いがあるのか、機能を比較してみよう。無料版で試験的に導入してから結論を出すこともできる。末尾には機能一覧表を掲載した。
無料版
ZoomとTeamsの無料版の大きな違いは、次の2点だ。
- ZoomのほうがWeb会議に関する制限が多い
- Teamsには録画機能がない
Zoomでは、1対1の場合は時間無制限だが、3人以上となる場合には、40分が上限となる。Teamsにも時間制限はあるが、上限は60分だ。どちらも会議に参加できる人数は最大で100人と変わらない。注意したいのは録画機能で、Zoomでは、ローカル(PCなどのデバイス)に録画できるが、Teamsには録画機能がない。
有料版
Zoomの有料プランは、「プロ」「ビジネス」「ビジネスプラス」「企業」の4つだ。有料版では、Web会議の40分制限が外れる。録画はローカルではなくクラウドストレージレコーディングが可能となり、プランが上がるにつれて保存容量が大きくなる。ホワイトボードやユーザー管理、電話、サポート、セキュリティ機能なども付加されていく。
Teamsには、「Microsoft Teams Essentials」「Microsoft 365 Business Basic」「Microsoft 365 Business Standard」と「Microsoft 365 Business Premium」という4つの有料プランがある。有料版では、会議参加人数と会議時間の上限が上がり、添付ファイルやファイルストレージの容量が増える。ブレイクアウトルームの利用やウェビナーの開催、ユーザー管理、サポート、セキュリティ機能が付加されていく。
比較一覧表
ZoomとTeamsの無料版・有料版の比較一覧表は次のとおりだ。
Zoom | Teams | |||
無料版 | 有料版 | 無料版 | 有料版 | |
マルチデバイス対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
会議参加人数 | 100名 | 100~1,000名 | 100名 | 300名 |
会議時間 | 無制限(1対1) 40分(3名以上) |
30時間 | 30時間(1対1) 60分(グループ会議) |
30時間 |
背景 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
チャット | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ファイル送受信 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
画面共有 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ブレイクアウトルーム | 〇 | 〇 | ✕ | 〇 |
ホワイトボード | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
録画 | 〇ローカル ×クラウド |
〇クラウド | ✕ | 〇クラウド |
その他の機能 | 動作が軽くて速い Google WorkspaceやSlackとの併用が多い |
シングルサインオン ユーザー管理 セキュリティ 電話 |
Microsoft製品との連携 外部連携 ファイルストレージ |
シングルサインオン ユーザー管理 セキュリティ 電話 |
料金 | 0円 | 月額2,000~3,125円 または 年一括20,100~31,250円 企業プランは問い合わせが必要 |
0円 | 月額430~2,390円 |
※料金はいずれも税別