プレゼンには必ず「相手」がいることを意識
宮田(SalesZine編集部) 本日は講演ありがとうございました。冒頭で「プレゼンと柔術は似ている」という言葉もありましたが、プレゼンにどう向き合うべきか考えるきっかけになったのではと思います。事前に募集した質問では、どうやって間をつくれば良いか、相手によってどう話し方を変えたら良いかという内容が多く、まさに今日のお話の中で押さえていただいたところでしたね。それ以外で本日いただいている質問を代読させていただきます。
質問①プレゼンの練習の仕方を教えてください。
広江 ほかの人からフィードバックをもらうと良いと思います。たとえば、社内でプレゼン大会をして、良いところも耳の痛いところもフィードバックをたくさんもらうなど。ほかには、Zoomのプレゼンを自分で録画して、あとから自分で採点するのもおすすめです。
『聞くプレゼン』でも、プレゼンのフィードバックをする際の30個のポイントを書いています。この30個のポイントを意識しながらチームでプレゼンし合って、「〇〇さんはここがすごい、5段階で5だな」「このポイントは5段階で2かな」と、互いに採点し合う。共通の物差しがあると、駄目出しも褒め合いも健全に行うことができます。
宮田 自分や他者のフィードバックを行う際に、書籍もぜひ活用いただけると嬉しいですね。それでは、次の質問です。
質問②相手のタイプによってアプローチを変えるとのことですが、相手が複数人いる場合、どう対応すれば良いのでしょうか。
広江 キーパーソンや意思決定者を見極めることが重要です。周りの人がフィーリングタイプでも、意識決定者がシンキングタイプであれば、ロマンばかり話しても仕方がない。エビデンスやリスク、リスクの対処法もしっかり話す必要があるでしょう。
宮田 意思決定者を把握しつつも、場に意識を向けることも必要でしょうか。
広江 そうですね。たとえば、オンラインの場合にぜひ「お顔を出してください」と伝えても、いつもは顔を出していない企業様相手ではハレーションが起こるかもしれません。また、ウェビナーに至っては本日と同様に参加者の顔が見えないケースも多いです。
それでも「本日は○○名の方に参加いただいていてとてもうれしいです」と、つながりを感じていることははっきり言葉にしますね。全員にとって、つながりや参加している感覚を得られる「場」をつくることは前提として重要です。
宮田 さまざまなやり方で、場をつくる意識は非常に重要ですよね。次の質問です。
質問③15分程度の時間の短いプレゼンのときはどうしましょう。
広江 ありますよね。官公庁ではとくに多いと思いますが、入札のようなかたちで、複数企業が横並びになり天秤にかけられて決まる案件などの際ですね。アイスブレイクはカットしてすぐ本題に入るなど、要件や価格、納期だけを伝えて去るしかないようなプレゼンになりますよね。
しかし、こんなときこそ、独自性を発揮できるチャンスだと思っています。周りが本題しか話さない中、30秒や1分でも構わないですから、少しアイスブレイクを入れる。この自治体の取り組みは私も一市民として共感をしていて、お役に立てるチャンスがあって嬉しく思っていますなど、自分を主語にしたメッセージを発信してみると、共感の接点が増えますね。短い時間でも良いですから、相手との共感の接点をつくる。それが、横並びになったときの独自性につながるのではないかと思います。
宮田 ピラミッドの5つのうち、どこを強めるかですね。短いプレゼンの場合は伝え方や心のつかみ方を強めてみるというふうに考えるのも良さそうですね。