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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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商談創出のキモはデジタル接点管理! 「知らないうちに失注」問題を防ぐセールス・マーケ・インサイド分業

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 2021年10月15日、SalesZineでは「SalesZine & Beyond Be a Challenger ~新時代のSaaSセールス論~」を開催し、ビジネスシーンの第一線を走り続けるための「新時代のチームづくり」「SaaSセールスの挑戦」をテーマに全6セッションのライブ配信を行った。本稿では、シャノンのマーケティング部で部長を務める村尾慶尚氏が登壇したセッション「商談創出のキモは「デジタル接点管理」、マーケ・インサイド・セールス分業の現場から」の様子をレポートする。

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顧客の購買行動はコロナ禍以前から変化している

 クラウド型MAツール「SHANON MARKETING PLATFORM」を提供するシャノンは、自らもツールを活用し、営業活動の効率化を実践している。今回のセッションで、村尾氏はSHANON MARKETING PLATFORM上での実例を交えながら、「商談創出の仕組み化」を実現するうえでのデジタル接点管理の重要性を訴えた。

 

 デジタル接点管理がなぜ重要か。さまざまな分野で「デジタル化」が加速する昨今、セールス領域でも「アナログからの脱却」を掲げる組織が増加している。中でも、顧客の購買行動においてはコロナ禍以前から変化している点を村尾氏は指摘する。

 以前は顧客が商品を購入するまでの間に多くの対面接点がちりばめられていた。そのため、営業担当者が1人ひとりと向き合い、「興味」から「関心」へと引き上げ、「関心」を持った顧客に比較検討をしてもらうことで商談が生まれ、購買に至るという流れだった。

 しかし、昨今は購買者の情報収集中フェーズがデジタルによって非対面で完結するため、多くの購買者が企業と会わないまま情報収集を行っている。結果、従来型の営業が成約するまでの難易度が高まっている。

 

 一方、売り手側の企業では顧客の購買活動の変化に合わせて営業の分業化が進んでいる。各領域に特化したチームを組み、それぞれが連携して顧客により良い体験を提供することで購買を促すかたちが主流となり、シャノン自身も「マーケティング」「インサイド」「セールス」「カスタマーサクセス」に分かれて営業活動を行っていることが語られた。

 とはいえ、分業が進むと課題も表出する。村尾氏は「何も仕組みがない中で分業体制を採用してしまうと顧客体験は低下する」と警鐘を鳴らす。「情報収集フェーズの顧客に対してインサイドセールスが前のめりにアプローチをかけてしまう」「半年前に参加したイベントの出展企業から突然電話がかかってくる」「以前より相談していたのにもかかわらず、別の担当者に何度も同じ説明をされてしまう」など、商談を不利にするトラブルが生じやすくなる。

 そうした問題を解決するうえでは、顧客の情報をしっかりと管理して1人ひとりに向き合うことが重要であると村尾氏は説く。

「ツールよりも、人を中心とした顧客管理が大事です。チームを横断してお客様の情報をきちんと管理できる体制がないと、商談創出はままならない。デジタル情報の接点を管理することがかつてなく重要になってきています」(村尾氏)

資料請求で生じる「知らないうちに失注」問題

 デジタル接点管理の実例として、村尾氏は「資料請求編」「ウェビナー編」という2パターンの事例を紹介。まず最初に「資料請求」に関する事例を紹介した。

 非対面での情報収集が主流である昨今は、買い手側の担当者が上司から指示を受け、複数ベンダーに対して資料を取り寄せるところから顧客接点がスタートする。資料請求の連絡を受けた売り手側では、セールス・インサイドセールスがフォローを行うのだが、買い手側の担当者が上司の新たな指示を待つ「休眠状態」に突入してしまう場合もある。一時的にコミュニケーションがストップした結果、「この問い合わせは商談化しなかった」と社内で早々に「終了」と判断されてしまうケースが散見される。

 しかし買い手側からすると、単に上司の忙しさゆえに検討が止まっている状態にすぎず、翌月などに検討のためのミーティングがセットされている場合も少なくない。とはいえ、ここで早期に失注判断が下され追加のフォローが行われないと、メジャーな製品でない限り「知らない間に失注」をしてしまう。

「資料請求の現場では、自分たちは『商談化しなかった』と思っていても、先方では着々と検討が進んでいる場合も多い点は留意するべきです」(村尾氏)

 

 各チームの心情は次のとおり。まず、マーケティング部門は「きちんとした訴求をして資料請求が増加しているため、商談化してほしい」と考えている。一方、インサイドセールスでは「顧客曰く社内検討はこれから行われるとのことだが、明確な課題はあるとも話していたため、今後しっかりとフォローを行えば商談化するはず」と考え、自分たちで引き続きタスクを持ち続けたり、セールスにパスをしたりするなど、案件を温めようとする。

 他方で、セールスの立場では「フォローはしてみたが、先方の会社ごと巻き込めていないため、商談は遠いだろう」と後ろ向きになってしまうケースが多い。

デジタル接点管理は「仕組み化」を実現に近づける

「皆で一生懸命取り組んでいるのにも関わらず、3つの部門に軋轢が生じています。根本的な原因は『再アプローチ』の仕組みがなかったから。その点、デジタル接点管理に取り組むことで、そうした課題にアプローチできるようになります」と村尾氏は説く。

 

「フォローを行った直後に商談化まで辿りつかなかったとしても、後日検索経由でウェブサイトに来ているか否かなどの動きをキャッチして、それを取りこぼさずにフォローを行うことは重要です。商談創出の可能性がグッと高まりますし、まさにデジタル接点を管理するメリットのひとつでしょう」(村尾氏)

 デジタル接点管理のフェーズにおいて、見込み客がウェブサイトへアクセスした事実はMAを活用することで掴めるが、それだけでは不十分であると村尾氏は指摘する。たとえば、メールマガジン経由でウェブサイトへ訪れた場合は、「たまたまメールを見て興味を持っただけ」というケースが多く、商談への発展が期待しづらい。村尾氏は、「必要なのは、お客様の行動を想像すること」と説明する。

「検索を通じてウェブサイトに訪れているような人は、企業や製品の『名前』で検索しているのだと想像することができます。デジタル接点をしっかりと管理していくことで、そうした前提を踏まえたうえでの施策づくり・仕組み化が実現に近づきますし、組織一丸となって顧客体験向上に向けた適切なフォローができるようになります」(村尾氏)

 

ウェビナー成果を可視化して商談を逃さない

 セッションの後半では、「ウェビナー編」と称して、ウェビナーにおける「成果が隠れてしまっている問題」が解説された。

「データの管理が不十分だと、資料請求を通じて商談が創出されたことはわかっても、その資料請求がウェビナー起点であったことまでは判別がつきません。ゆえに、ウェビナーの成果が隠れてしまうのです」(村尾氏)

 

 こうした状況が放置されてしまうと、マーケティング部は「ウェビナーの満足度は高いのに、なかなか成果に表れない」、インサイドセールスは「ウェビナーはすぐに商談化しないから資料請求に力を入れて欲しい」、セールスは「頑張ってくれているのはわかるけど、やっぱり資料請求のほうがいい」と後ろ向きになってしまう。このように、「成果が見逃された状態」のままだと、ウェビナーを廃止する判断が下されかねない。

「ウェビナーをやめてしまうと、商談はおろか資料請求も生まれません。先ほどお話しした資料請求の事例と同様に、皆が同じゴールに向かって一生懸命取り組んでいるのにもかかわらず、商談件数が減少してしまう『不幸』が起きてしまうのです。得られた成果を見逃さないためにも、デジタル接点をきちんと管理する必要があります」(村尾氏)

 

 ウェビナー活用の分野においてもデジタル接点管理が重要であると語る理由は「ウェビナー参加者に対するフォローの優先順位づけにある」と村尾氏は続ける。

 優先順位づけを行ううえで活用するスコアリングの指標は「属性」と「行動」の2種類。属性のスコアリングとしては「職種」「役職」「企業名」「メインターゲットか否か」などで、行動のスコアリングは「どのようなアクションが見られたか」「ウェビナーの以前にどれくらい資料請求を行っていたか」「名刺交換の有無」などが挙げられた。

 村尾氏は、これらふたつのスコアを掛け合わせることで、ウェビナーの参加者に対してより適切なフォローができるようになると語る。

「一例ですが、属性スコアは高いが行動スコアが低い人に対しては、『アンケートの結果次第では、すぐに商談オファーをしてみよう』と施策を考えられるようになります」(村尾氏)

 このほかにも、属性が「担当者」で「職種や企業規模がマッチしている(=属性スコアが中程度)」・「行動スコアが高い」ケースでは、「たくさん情報収集してくれているが、なかなか商談につながっておらず、社内展開に苦労している」様子を予測できる。

「担当者自身は良い製品であると考えているものの社内に上手く展開できていないケースでは、即座に商談オファーを持ち掛けるのではなく、インサイドセールスから事前のミーティングを設定し『社内展開の支援をさせてください』と持ち掛けるのが良いでしょう」(村尾氏)

 

 デジタル接点管理の重要性が解説された本セッション。「フォローを行ううえで重要なことは、ただツールを使うだけではなく、営業・マーケティングにかかわる社員自身も真正面から案件と向き合ったうえでインサイトを得ることです」と村尾氏は説明する。

「これまでにお話しした事例は、『200名規模の会社だからできたのだろう』と思われるかもしれませんが、企業の規模感にかかわらず、理屈は変わりません」と力強く語りセッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://saleszine.jp/article/detail/2942 2021/11/15 11:00

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