在宅勤務からハイブリッド勤務へ ベネッセの働き方の変遷
――働き方の変革があったタイミングとその背景を教えてください。
市川(人財支援部 労務課) 当社では以前よりワークライフバランスを重視しており、1995年にスーパーフレックス制度を導入し、2009年には在宅勤務制度を導入しています。それ以降の大きな転換期は……やはり今年4月の緊急事態宣言ですね。 緊急事態宣言直後はほぼ全員が在宅勤務へ転換し、緊急事態宣言の解除後以降は、出社と在宅を組み合わせた「ハイブリッド勤務」を推進しています。
――在宅勤務、そしてその後のハイブリッド勤務への移行はスムーズだったのでしょうか。
市川 比較的スムーズに進んだ印象です。社長を座長として、各組織のトップが集まる「新型コロナウイルス対策会議」が週2回ほど開催されていました。そこでの決定事項は、即座に全社共有されるような状態でしたので、緊急事態宣言にともなって全社が在宅勤務に切り替わる際も、スムーズに移行できたように感じています。
――「新しい働き方ガイドライン」に関して、策定から実施までの経緯を教えていただけませんか。
市川 緊急事態宣言が解除された6月、「新しいベネッセとしての働き方はハイブリッド勤務である」ということを社内に推進していくタイミングで、この「新しい働き方ガイドライン」をリリースしました。
ガイドラインの内容は、新型コロナウイルス対策本部の場を活用して、人事部門や総務部門、IT部門などの各部門の力を合わせて作り上げていきました。具体的には、「新しい働き方」へ転換していく中で、各部門が「社員にお願いしたいこと」を集約し、まとめたものをリリースしました。
もともと、当社では2009年より在宅勤務を導入していたため、在宅勤務に関するガイドラインはすでに作成されていました。そうしたもともとの地盤も、違和感なくスムーズな移行を実現した一因だと思っています。
――既存の基礎があり、それらを固めていくような進め方をされたんですね
市川 そうですね。また、出社率の低下を考慮し、通勤手当は定期額支給から実費精算制へ転換し、社内託児所制度の見直しなども行っています。その分、在宅勤務の環境向上のための手当てを導入するなど、会社の原資の使い方と社員サービスを組み替えていく作業も並行して行っています。ITの側面では、ハイブリッド勤務下での生産性向上を支援する目的で、勤怠・働き方の共有ツールを自社で開発し、導入しました。