ここ10年で音声認識の精度と認知度は飛躍的に向上
――まずは、御社が音声認識のビジネスを始められたきっかけから伺えますか。
ワープロ、ガラケー、スマホなど、ビジネスパーソンが使用するデバイスは時代とともに変化してきましたが、声によるコミュニケーションは廃れることなく残り続けています。アドバンストメディアが設立された1997年当時は音声認識技術の認知度は現在よりも低く、限られた分野でしか活用されていませんでしたが、近い将来、声によるコミュニケーションが発展して大きなビジネスになると考えた社長が会社を立ち上げ今に至ります。
医療向けの電子カルテ入力アプリや日本人向けの英語発音矯正アプリなど、さまざまな分野で音声認識ビジネスを展開し始めましたが、当初は認識精度の向上と業務活用イメージの訴求強化が大きな課題でした。日本語の文章はひらがな、カタカナ、漢字が複雑に混ざって構成されるので、話し言葉をテキスト化するためのデータ整備が難しいとされています。
――大柳さんが入社された2008年以降、音声認識の技術や市場で潮目が変わったと感じられた瞬間はありましたか?
転換期はいくつかあります。2010年頃、大手通信企業が国民的アイドルを起用し、携帯電話の音声認識によるアシスタント機能をテレビCMで大々的にアピールしました。同時期にApple社からSiriがリリースされたことで音声認識の認知度が一気に高まり、弊社の営業活動にとっても大きな追い風となりました。数年後、ディープラーニングやAIの技術革新にともなって音声認識の精度が飛躍的に向上し、業界が成熟期を迎えた2018年ごろ、働き方改革への取り組みが強化され始めました。テクノロジーを使って業務負荷を軽減させようとする世間の動きに入力不要の音声認識技術がマッチし、注目度が高まりました。