終身雇用の終焉
「副業解禁」から受けとれるメッセージは「終身雇用制度は終わります」ということでしょう。
ほかにも稼げる手段が増えるので一見、個人にとって良いことのように見えるのですが、実力主義、自己責任の要素がかなり強くなります。個人的には、フリーターという言葉が流行った1990年前後と似た雰囲気を感じています。
終身雇用のときは自由がないぶん、定年までの生活は会社が保証するという考え方がありました。これからの企業は、従業員の生活を保証するという責任を持たなくなっていくかもしれません。その意識は当然、給与や労働条件にも反映されます。「最低限生活するにはこれぐらいの金額が必要」という配慮がなくなるということです。
副業ができる人にとってはやりやすくなるでしょうが、できない人にとっては梯子を外されてしまった状態になります。1社からもらえる給与は相対的に下がり、複数の収入源からいま以上の収入を得なければならなくなります。働くことの最適化を自分自身で考えなければならない時代に突入したと言えます。
個人が「働くの最適化」を考えるぶん、企業も「働くの最適化」を考えます。時短勤務などが良い例ですね。企業側も使いたいとき、使いたい能力だけに報酬を支払うという仕組みになっていくと、企業と個人の関係が今後とてもドライになります。
働くの自由化がはじまる
とはいえ、働く個人にとっては自由化は大きなチャンスです。本業以外にも収入源を得ることができるので、シンプルに収入をあげることができるようになります。営業の場合、需要だけを獲得し、あとは提携会社本体の営業へパスするというリード供給の役割を担うだけでも大きな貢献ができます。
BtoCの営業ならこんな掛け合わせも可能でしょう。
- 不動産賃貸の営業なら、家具メーカーと提携
- 車の営業なら、住宅メーカーと提携
BtoB営業の場合は、個人の専門商社化が可能になり、自社製品以外にも複数の商材を抱えた営業活動を行うことができるようになります。顧客課題を中心において解決方法を提案するソリューション型の営業方式にアジャストできれば、営業網をより細かく張り巡らせることができるようにもなります。自社製品のカバー範囲内でしか提供できなかった価値が、より広範囲となり、いまより大きな価値を顧客に提供できるようになります。
顧客の課題をより効率的に解決できるようになることで、営業個人の価値も最大化できます。営業の収入が増え、顧客は手軽に価値を享受できる。結果的に、営業が所属する企業にに対する社会からの評価も高まるでしょう。副業は、うまく運用できれば三方良しのとても良い取り組みです。