日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、企業の管理職1,072名、一般社員1,116名を対象に「管理職の実態に関するアンケート調査」を実施。その結果を発表した。
調査結果
「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職を続けたい/続けたくない」という設問の回答に応じ、回答者を四象限に分類した。その結果、管理職全体の56.4%が「今の仕事が面白い」「管理職を続けたい」と感じている“ポジティブ管理職”であることが明らかになった。
「意識しているマネジメント行動」をたずねたところ、ポジティブ管理職・ネガティブ管理職ともに「顧客・メンバー・関係部門・協力者などから信頼を得られるように、相手を尊重し誠実に行動している」がもっとも多くなった。
※ネガティブ管理職:「今の仕事が面白くない」「管理職を続けたくない」と感じている管理職
一方、「抵抗や障害を乗り越えて、機会を逸することなく、変革や革新を実行している」(ポジティブ管理職87.9%、ネガティブ管理職46.0% 差:41.9%)、「日頃から上位者に進んで協力し、必要な時に味方になってくれる関係性を築いている」(ポジティブ管理職91.4%、ネガティブ管理職51.5% 差:39.9%)の項目において、ポジティブ管理職とネガティブ管理職のギャップが大きくなった。
「コロナ禍で変えたマネジメント行動」についてたずねたところ、ポジティブ管理職では「問題意識を持って、情報収集を行い、変化の兆しや組織の進むべき方向を的確に捉えている」(36.7%)がもっとも多くなった。一方、ネガティブ管理職は18.3%が同項目を回答しており、ポジティブ管理職とネガティブ管理職との差は18.4%と、ギャップがもっとも大きくなった。
部下(一般社員)に対して、「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職になりたい/なりたくない」を軸に四象限に分類した。その結果、77.3%の部下が「管理職になりたくない」と回答。2018年調査(「管理職になりたくない」72.8%)と比較して、管理職になりたくない割合が増加した。
「管理職を続けたい/続けたくない」「管理職になりたいと思っていた/なりたいと思っていなかった」で分類した結果、管理職になりたくないと感じていたネガティブな状態から、管理職を続けたいと感じているポジティブな状態に変化した管理職が16.7%いることが明らかになった。
管理職になりたかった理由をたずねたところ、「報酬アップのため」(57.7%)がもっとも多くなった。さらに管理職になりたかった理由をポジティブ管理職とネガティブ管理職で比較したところ、「自分の能力アップや成長のため」でポジティブ管理職がネガティブ管理職を上回り、「会社や周囲から評価されたと思えるから」でネガティブ管理職がポジティブ管理職を上回る結果となった。
管理職になりたくなかった理由をたずねた。「自分は管理職に向いていないから」(全体46.6%)がもっとも多くなり、内訳はネガティブ管理職が41.0%、ポジティブ管理職が25.6%という結果になった。また、部下(一般社員)に対して「管理職になりたくない理由」をたずねたところ、ネガティブ部下の53.0%が「自分は管理職に向いていないから」と回答した。
実際に管理職に就いて、「管理職」という仕事にどのような印象を抱いたかたずねた。ポジティブ管理職は「自分の成長につながった」(95.4%)がもっとも多く、ネガティブ管理職は「調整が多くて面倒」(71.3%)がもっとも多くなった。また、ポジティブ管理職とネガティブ管理職の回答差は「チームマネジメントが面白い」でもっとも大きくなり(ポジティブ管理職86.8%、ネガティブ管理職20.8% 差:66.0%)、「プレーヤーとしての仕事の方が面白い」「調整が多くて面倒」「負荷に対し報酬が釣り合っていない」では差が少なくなった。
・管理職になる前の経験や支援(定性コメント)
調査概要
- 管理職の実態に関するアンケート調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:企業規模300名以上の管理職(課長・部長・本部長層)/一般社員
- 有効回答:管理職1,072名/一般社員1,116名
- 調査時期:2023年4月