フレックスや在宅勤務など新しい「働き方」が世間に浸透してきたタイミングで、新型コロナウイルスの感染が拡大。緊急事態宣言の影響もあり、この1年間でビジネスパーソンの働き方は大きく変わり、多くの企業で新制度の導入や従来制度の変更が行われた。
そのような環境下で、チューリッヒ生命は全国1,000人のビジネスパーソンを対象に、今年で5回目となるストレスに関する調査を実施。現在ビジネスパーソンが抱えるストレスの要因に加え、働き方に関する新たな制度の導入とそれにともなうストレス、コロナが落ち着いた後にやりたいことなどを多岐にわたり調査を行った。
調査結果詳細
仕事をするうえで「もっともストレスを感じる要因」をたずねたところ、「給与・賞与(金銭面)」が22.5%でもっとも多く、2年連続で収入や給与など金銭に関わる項目が1位となりました。
「給与・賞与(金銭面)」を選んだ人は、「業務量に対して給与が安い」、「年功序列で給与があまり上がらない」など会社の給与評価制度などを理由に挙げているほか、「コロナにより給与・賞与が減った」、「休業した」などコロナ禍を理由に挙げている人もいた。
昨年と比較し、「上司との人間関係」をストレスの原因と回答した人の割合は減少したが、「上司・部下以外の社内の人間関係」、「取引先等の社外の人間関係」(2021年調査結果:5.9%)、「部下との人間関係」(同:4.2%)は増加。「上司・部下以外の社内の人間関係」が増加したなかには、コロナ禍で出社が難しくなったことで「意思疎通ができない」、「顔を見て話せない」などをストレスの原因に挙げている人がいた。「上司との人間関係」においては、「パワハラがある」、「感情の起伏が激しい」などが挙げられ、「部下との人間関係」では、「世代間のギャップに悩む」、「パワハラにならない指導のやり方がわからない」などコミュニケーションに関する理由が多く挙げられた。
在宅勤務が浸透したことにより、「家族との関係」(3.0%)をストレスの要因とした人の中には、「リモート会議中に生活音が入る」、「仕事のための光熱費が自己負担」など私生活と仕事の境目がなくなることをストレスに感じている人もいる。また、親の介護や子供の通院などで休みを調整する必要があると回答した人もいた。
新型コロナウイルスの影響により感じる仕事のストレスをたずねた結果、ストレスの原因として、「業務上のコミュニケーションがとりづらい」と回答した人が20%ともっとも多く、在宅勤務などの導入により職場で顔を合わせる機会が減ったことなどが背景にあると考えられる。
また、通勤やオフィスで感染するリスクをストレスと感じる人も34.3%いた。
新型コロナウイルスの感染拡大前から、どのような働き方に関する制度が導入されていたかをたずねたところ、「在宅勤務」が19.3%でもっとも多い回答に。「時短勤務」(16.0%)、「フレックス」(15.9%)と続くものの、「導入していた制度はない」と回答した人が55.8%でもっとも多い結果となった。
新型コロナウイルスが感染拡大する前から導入していた制度のなかで、ストレスの原因としてもっとも多く挙げられたのは、「収入が減ったこと」(21.0%)。普段の仕事でストレスを感じる原因についても金銭面が1位だったため、「働き方」が見直されたことにより残業が減ったことなどが影響したと推測される。
また、働き方に関する制度に対して、「ストレスを感じていない」と回答したのは38.7%となっており、約6割のビジネスパーソンが導入した制度にストレスを感じていることがわかる。
新型コロナウイルスの感染拡大がはじまって1年以上が経過。働き方に関する制度やビジネスパーソンが抱えるストレスにどのように変化があったのかを調査した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により新たに導入された制度や変更された制度をたずねたところ、「在宅勤務制度」を新型コロナウイルスの感染拡大前から「導入していた」と回答した人は19.3%(Q3より)。さらに、感染拡大後に導入したと回答した人が19.9%となり、全体で39.2%の人が「在宅勤務」を選べるように。
通勤時間に幅を持たせ、分散して出社ができるように「フレックス制度」の内容が変更され、より柔軟に制度を利用できる人も増えた。
ストレス緩和につながった制度についてたずねた結果、もっとも多い回答は「在宅勤務制度」(36.4%)だった。Q2の結果から、オフィスや通勤経路での感染リスクをストレスと感じている人には、人との接触を減らせる「在宅勤務制度」がストレス緩和につながったと考えられる。しかし、「ストレス緩和につながった制度はない」(43.8%)と回答した人がもっとも多く、働き方に関する制度の導入や、変更がストレス緩和につながっていないと考える人も多い結果となっていた。
新型コロナウイルスの感染拡大前から導入していた制度や、感染拡大後に導入・変更した制度のなかでもっとも多い回答として挙げられたのは「在宅勤務」だった。しかし、40.6%が在宅勤務について「ストレスを感じる」と回答。原因として、「家族がすぐ近くにいる」、「業務を行う機材が整っていない」などが考えられる。また、「通勤することをストレス」と考える人は在宅勤務にストレスを感じていない傾向にあるようです。
女性20代では半数以上が在宅勤務に「ストレスを感じる」と回答していますが、女性50代では32.6%にとどまった。ライフステージの変化により、在宅勤務のほうが家事をスムーズに進められると考える人が多くいるのではないかと考えられる。
性別比較
さらに、ストレスの発散方法を性別で比較してみると、男性は新型コロナウイルスの感染拡大前後でTOP3の項目、順位に変化がないことがわかった。また、女性もTOP3の項目には変化はなかった。
性別における大きな違いは、「お酒を飲む」ことがストレスの発散につながる人は男性に多く、女性は「美味しいものを食べる」ことがストレスの発散につながることがわかる。
新型コロナウイルスの感染拡大が収まり、自粛する必要がなくなったあとにいちばんしたいこととして挙げられたのは、「国内旅行」(37.0%)、次いで「海外旅行」(15.5%)となり、全体の52.5%が旅行を望んでいる結果となった。
性別で比較すると、女性は「海外旅行」、「観劇」のような非日常の体験を望んでおり、男性は「外食、会食」、「BBQなどのアウトドア」など飲食を楽しみたいという回答が多く挙がっていた。
ワクチン接種の希望をたずねたところ、希望する人が全体の63.8%。
年代別で比較すると、年齢を重ねるごとに接種希望率が高くなることが判明した。なお、接種を「希望する」と答えた人のなかでは「感染したくない」、「重症化したくない」という意見が多く挙げられていた。一方、「希望しない」と答えた人の多くは「副反応が怖い」という意見が年齢問わずあった。
調査概要
- 調査方法:ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したウェブアンケート方式で実施
- 調査対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳~59歳の有職者を対象に実施
- 有効回答数:1,000人(20代・30代・40代・50代、男女 各125人)
- 調査実施日:2021年5月27日(木)~2021年5月28日(金)