総合人材サービスを展開するランスタッドは、ランスタッドが年に2回、世界34の国と地域で実施する労働者意識に関するグローバル調査「ランスタッド・ワークモニター」の2021年第1版の結果につき、日本市場の数字も含め発表した。2021年第1四半期に実施された今回の調査は、34の国と地域の労働者2万7,000人を対象に行われた。
同調査の結果は、次のとおり。
ワクチン接種の普及におけるビジネスの役割
企業がコロナ危機前の状態に戻るためには、職場環境が今より安全になり、ワクチン接種の重要性に対する意識が高まる必要があると、ほとんどの回答者が認めている。
53%(日本では53%)が、同じ職場にいる人たちがワクチン接種を受けない限り安心できないと答え、51%(日本では53%)が、ワクチンが行き渡るまでは在宅勤務を希望すると回答。この点において、日本は全世界の平均とほぼ同じとなっていることがわかる。
ただし、実際に雇用主からワクチン接種を求められた人は全体の4分の1にとどまる結果に。その割合がもっとも多かったのはアジア、もっとも低かったのは南ヨーロッパだった。しかし、75%が「仕事に必要であれば喜んで接種を受ける」と回答し、半分以上(56%)が「ワクチン接種は雇用機会の拡大につながる」と考えていた。
78%がオフィスの再開を切望
現時点ではオフィス勤務が不可能なことから、多くの人が、孤独感、健康的なワークライフバランスが保てないこと、人と会えないことを挙げた。実際に全体の52%が同僚と会って話せないのが寂しいと答え、18歳から24歳の3分の1以上が孤独を感じると回答し、この年齢層が孤独を感じると答えた人の割合がもっとも大きかった。
こうした課題から、78%(日本では65%)がオフィス復帰を望んでいるが、回答者は必ずしもコロナ危機前と同じ働き方を求めているわけではない。54%(日本では48%)が、働く場所を選べる混合型の勤務形態を好んでいた。
雇用主が従業員の将来的な要望を把握し、公衆衛生ガイドラインに合わせて方向転換し、オフィス再開計画を立てるには、従業員が雇用主からのサポートを実感できるよう速やかに行動することが欠かせない。もっとも効果的な方法として回答者の4分の1(27%)が挙げたのは、適切なワークライフバランスを維持するための労働時間ルールの改善だった。
世界の労働者は将来を楽観視 しかし日本は慎重
さまざまな制限やロックダウンが始まって1年が経った今、世界の労働者はこの状況に慣れてきているだけでなく、2021年の今後に希望を抱いている。過半数(54%)が雇用市場の改善を見込んでいるが、日本においては低い数値(34%)となり、あまり楽観視していないことがうかがえる。また、新型コロナウイルスの感染拡大に大きな打撃を受けてきた女性労働者はそれほど希望を持っていなかった。
2021年中の雇用機会拡大を確信
- 南北アメリカ…63%
- アジアパシフィック…63%
- 東ヨーロッパ…49%
- 北西ヨーロッパ…51%
- 南ヨーロッパ…43%
- グローバル…54%
- 日本…34%
雇用機会について楽観的な見方がある一方で、回答者の52%がコロナ危機下の労働体験をきっかけに、現在の雇用主の下で長く働きたいという気持ちが高まったと答えた。実際に約30%が、この1年間、現在の雇用主の下で働いたことで自身の生産性が改善したと答えている。しかし、日本においては、現在の雇用主の下で長く働きたいと答えた割合が31%と世界平均から20%も低い結果となった。
調査概要
- 調査方法:オンライン
- 調査対象:34の国と地域の、18-65歳の週24時間以上の勤務をする労働者(自営業を除く)
- 調査期間:2021年2月15日~3月8日
- 最小サンプル数:各市場で800