サイボウズチームワーク総研は、緊急事態宣言から約半年が経過したことを受けて「テレワークのコミュニケーション」に関する調査を実施した。テレワークには「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」などの形態があるが、今回の調査では対象を「在宅勤務」に絞って実施した。
在宅勤務の頻度 出社とのミックス型は7割、フル在宅は3割
2020年10月時点の在宅勤務の頻度は「週に1~2日」が39.4%と約4割、「週に3~4日」が30.5%と約3割という結果に。なお、「週に5日以上」という実質の「フル在宅」は30.1%であった。
在宅勤務時のコミュニケーション手段はメールと電話が上位 年代別に差
職場の人とのコミュニケーション手段を複数回答で尋ねる設問では、メールが78.6%、電話が71%、ウェブ会議が59.3%の回答を集めた。
年代別にでは、ツールの利用差が顕在化。20代ではメールと電話の割合が他年代より低く、20代から30代はチャットを用いたコミュニケーションが40代から60代と比較してより大きな割合を占めていた
職場の人とのコミュニケーション 『業務に直接かかわらない内容』は「0分」が4割
「職場の人とコミュニケーションをとる時間」に関して、業務にかかわるコミュニケーションとそうでないコミュニケーションの2点に関する質問を設けた。
業務にかかわるコミュニケーション(社内会議・打ち合わせ・朝礼・申し送りなど】
総計では「30分未満」が過半数となり、「0分」を含めると61.6%という結果に。従業員数別に参照すると、従業員数が多いほどコミュニケーション時間が増加する傾向がうかがえ、従業員数が1000人以上の企業においては、「30分未満」は40%で、「1時間以上」は約3割を占めた
なお、「業務にかかわるコミュニケーションの時間数」に関して多くしたいか少なくしたいかを尋ねると、総計で「適量」という回答が約8割を占めた
業務に直接かかわらないコミュニケーション(雑談・ランチ・交流会など)
総計では「0分」「30分未満」ともに4割強という結果に。業務に関係するコミュニケーションの調査結果とは異なり、従業員数「10人未満」から「1000人未満」にかけては、「0分」が減り、「30分未満」が増加する傾向がうかがえた。従業員数が「1000人以上」の企業においては「0分」と「30分未満」がともに43%であった。
「コミュニケーションの時間数」を多くしたいか少なくしたいかを尋ねると、総計では、「業務に関係するコミュニケーション」を「もっと多くしたい」という回答が1割未満であったのに対して、「業務に関係ないコミュニケーション」では2割と増加した。従業員数別では「10人未満」に比較して、「1000人未満」および「1000人以上」の企業では「もっと多くしたい」がほぼ倍の結果に。
年代別で見ると「もっと多くしたい」は「20代」「30代」で高く、「40代以上」との差がうかがえた。
在宅勤務は「コミュニケーションがしにくい」が半数以上
職場の人とのコミュニケーションのしやすさに関して、前問と同様に「業務にかかわる」「業務に直接かかわらない」の2軸で尋ねた。結果、どちらも「(コミュニケーションが)しにくい」という回答が半数以上であった。
業務にかかわるコミュニケーション(社内会議・打ち合わせ・朝礼・申し送りなど】
「業務にかかわる」コミュニケーションのしやすさに関して、年代別に見ると、年代が下がるほど「しにくい」という回答が増加した。20代が61%、60代が51%と、10%の差がうかがえた。
こうした「業務にかかわる」コミュニケーションがしにくい理由を、フリーアンサーからテキストマイニングを行い、全体像を確認した。結果、「相手の顔が見えない、状況がわからない」「電話など連絡の取りにくさ、メールなど時間がかかる」「上司とのやり取りが多い」「通信環境が悪い」「タイミングが難しい」などの声があった。
業務に直接かかわらないコミュニケーション(雑談・ランチ・交流会など)
「業務に直接かかわらない」コミュニケーションに関しても同様で、年代が下がるほど「しにくい」と回答する人が増加する傾向が見受けられた。ここでは、もっとも高い20代が60%で、もっとも低い50代が47%と、13%の差があらわれた。
こうした「業務に直接かかわらない」コミュニケーションがしにくい理由としては、「業務にかかわる」際と同じく「相手の状況がわからない、相手が忙しい」「話す時間やタイミングが難しい」といった意見が上がったほか、「業務にかかわらないコミュニケーションは取りにくい・不要・機会がない」「雑談での連絡はしない」という回答も見られた。
在宅勤務下で職場の人との関係性が変化 6割が「話さない人が増えた」
在宅勤務が開始し、業務で関わりのある職場の人との関係性の変化を尋ねる質問を設けた。すると、約6割が「(職場の人が)何をしているかわかりにくい」「話さない人が増えた」と回答し、他設問より高い割合を示した。
コミュニケーションの場面で「ちゃんと伝えようと丁寧になる」が約7割
在宅勤務時のコミュニケーションに関する事柄に「はい」「いいえ」の2択で回答する項目を設けた。「ちょっとした会話が減る」「ランチや飲み会での交流が減る」などといった、コミュニケーション機会減に関する事柄と同様に、「ちゃんと伝えようと丁寧になる」に対する「はい」の回答は7割を超えた。なお、「時間数・時間帯を気にせずコミュニケーションできる」「相手との関係がフラットに感じる」「気軽な声かけをしにくい」「相手との間に壁や距離を感じる」の質問には、「はい」以上に「いいえ」と回答した人が多い結果に。
調査概要
- 調査対象:週1回以上在宅勤務をしている20代から60代のビジネスパーソン3,087名
- 調査期間:2020年10月2日~ 10月6日
- 調査方法:インターネット調査