米国で流行中?「デジタルセールスルーム」誕生の背景
デジタルセールスルームの市場の形成と発展
デジタルセールスルーム(DSR)は、近年急速に注目を集めているSales Tech(営業×テクノロジー)のひとつです。このカテゴリは、2020年にGartnerが提唱し、2021年にはG2.comによって正式にカテゴリが創設されました。
市場の成長は目覚ましく、2022年には前年比で約300%の市場成長を遂げ、2024年には30社以上のプレイヤーが参入するまでに至っています。デジタルセールスルームは、営業DXの次世代ツールとして、アメリカを中心に急速に普及しているのです。
2020年:Gartnerが提唱したことに端を発しカテゴリが創設される
Gartnerは2020年にデジタルセールスルームの概念を提唱し、この新しいカテゴリの基盤を築きました。Gartnerの提唱により、多くの企業がこのツールに注目し、導入を検討するきっかけとなりました。
2021年:G2.comがカテゴリを創設
2021年には、G2.comが正式にデジタルセールスルームのカテゴリを創設しました。これにより、デジタルセールスルームはセールステクノロジーのひとつとして広く認識されるようになり、企業間での利用が急速に広がりました。
2022年:市場が300%成長
2022年はデジタルセールスルーム市場にとって飛躍の年に。前年に比べて市場規模が約300%成長し、多くの企業がこのツールの導入を進めました。リモートワークの増加やデジタル化の進展により、デジタルセールスルームの必要性が一層高まったことが背景にあります。
2024年:市場に30社以上のプレイヤーが存在する
2024年には、デジタルセールスルーム市場には30社以上のプレイヤーが参入し、競争が激化しています。多様な企業が独自のデジタルセールスルームソリューションを提供し、顧客のニーズに応じた機能を追加することで、さらに市場を拡大しています。
市場形成のふたつの社会背景
ここまでデジタルセールスルームが需要拡大・普及した背景には、2000年代以降の「顧客の行動変容」(インターネット上で情報収集を行うようになり、オンラインでも商談を受けるようになった)や、「Sales Techの進化」による営業・購買者データ活用の高度化が挙げられます。
とくに2020年以降はパンデミックの影響もあり、Sales Techの活用やデジタルな営業活動が一般的なものとなりました。買い手と売り手、双方の事情に合致したかたちで、デジタル上での購買検討のやりとりが驚くべきほどのスピードで普及してきています。
そもそもBtoCの購買においては、いち早くオンラインでの購買体験が普及しました。たとえば、書店の数は年々減少し、多くの人がAmazonなどを利用して書籍を購入しているでしょう。高額商品の車に関しても、テスラはWeb上で購買が完結できるようにしています。こうした流れが法人取引にも広がっていると考えると、非常に自然な成り行きのように感じられます。
これらの背景から、デジタル上で売り手と買い手双方が情報共有をするプラットフォームであり、その動きをデータ化するデジタルセールスルームの市場発展は必然的なものに見えます。
ここからはデジタルセールスルームについてさらに詳しく説明していきましょう。