ProFutureの研究機関であるHR総研は、「社内コミュニケーション」に関する調査を実施した。
<調査概要>
- アンケート名称:【HR総研】「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024
- 調査主体:HR総研(ProFuture)
- 調査期間:2024年2月2日~2月9日
- 調査方法:ウェブアンケート
- 調査対象:企業の人事責任者・担当者
- 有効回答:285件
社内コミュニケーションに課題がない企業ほど、従業員エンゲージメントが顕著
自社において「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると思うか」について質問してみたところ、「大いにそう思う」(53%)がもっとも多く、「ややそう思う」(33%)が続いた。これらを合計した「そう思う」とする割合は86%となった。
企業規模別 社内コミュニケーションに関する課題の認識
自社の社内コミュニケーションに関する課題について、企業規模別の結果を調べた。「大いにあると思う」と「ややあると思う」を合計した「課題がある」の割合は、従業員数1,001名以上の大企業では70%、301~1,000名の中堅企業では67%、300名以下の中小企業では60%という回答になった。一方、「あまりないと思う」と「全くないと思う」を合計した「課題がない」の回答は、企業規模にかかわらず1割程度となった。
社内コミュニケーション課題の有無別 従業員エンゲージメントの状態
社内コミュニケーションの課題感別に従業員エンゲージメントの状態を調べた。社内コミュニケーションに「課題がない」企業群では従業員エンゲージメントが「非常に高い」(9%)と「やや高い」(41%)を合計した「高い」という回答が50%と半数になった。また、社内コミュニケーションの課題感が「どちらとも言えない」企業群では32%、「課題感がある」企業群では22%という回答になった。一方、「非常に低い」と「やや低い」を合計した「低い」の割合は36%となった。
社内コミュニケーション不全の原因に「管理職のコミュニケーション力不足」がもっとも多い
業務に支障をきたす社内コミュニケーション不全の原因について、すべての企業規模で「管理職のコミュニケーション力」がもっとも多く、大企業が41%、中堅企業が43%、中小企業が41%という結果になった。大企業では、次いで「対面コミュニケーションの減少」が35%、「社員のコミュニケーション力」が32%となった。中堅・中小企業では、「社員のコミュニケーション力」(中堅企業36%、中小企業38%)、「組織風土・社風」(中堅企業31%、中小企業34%)という回答になった。
社内コミュニケーションが活性化している企業は3割
自社における社内コミュニケーション状況について、1年前からの変化をたずねた。「変化なし」(58%)がもっとも多く、「やや活性化している」(30%)が続いた。「活性化している」(「非常に活性化している」と「やや活性化している」の合計、以下同様)は32%であった一方、「悪化している」(「やや悪化している」と「非常に悪化している」の合計、以下同様)は10%という結果になった。
企業規模別 社内コミュニケーション活性化のために実施している取り組み
企業規模別に社内コミュニケーション活性化のために実施している取り組みの内容をたずねた。いずれの企業規模でももっと多いのは「1on1(個人面談)」で、大企業は65%、中堅企業は46%、中小企業は39%という割合になった。大企業では、次いで「従業員アンケート」が61%、「社内公募制度・社内FA制度」が39%という結果になった。一方、中堅企業では「社内報」が44%、「従業員アンケート」が41%となった。中小企業では「1on1(個人面談)」以外には3割以上の取り組みはなく、「管理職対象のコミュニケーション研修」が25%、「従業員アンケート」が21%という結果になった。
社内コミュニケーション活性状況別 社内コミュニケーション活性化のために実施している取り組み
「一年前からの社内コミュニケーションの変化」で示した社内コミュニケーション活性状況別をたずねた。「活性化している」企業群では「1on1(個人面談)」という回答が63%でもっとも多くなり、「変化なし」や「悪化している」企業群と20ポイント以上の差異があった。次いで「従業員アンケート」が48%、「メンター制度」が33%、「社内公募制度・社内FA制度」が29%という結果になり、「変化なし」や「悪化している」企業群と差異があった。
社内コミュニケーションが「活性化している理由」※一部抜粋
- ハイブリッドワークが定着している(1,001名以上・サービス)
- 1on1の取組み(1,001名以上・メーカー)
- コロナが明けて飲食が解放された(1,001名以上・サービス)
- 社内で行っていた感染症対策が緩和され、物理的にも心理的にも壁が薄くなった。イベントも行われるようになった(1,001名以上・メーカー)
- 部門をまたぐ施策へ参加する人が少しずつ増えてきていること、事業所や部門をまたぐ異動が少し増え新しい考えが共有されてきたこと(1,001名以上・メーカー)
- コロナが収束し、対面で対話する機会が増えたこと(1,001名以上・サービス)
- 社内交流を目的とした取組みやイベントが複数行われて、ある程度の参加者がいるから(ただし全体に行き届いていなかったり、拠点が限られたりはしている)(301~1,000名・メーカー)
- コロナが落ち着き、これまで中止していた社内イベント等を再開できているため(301~1,000名・商社・流通)
- 当事者意識の醸成(301~1,000名・マスコミ・コンサル)
- 現業トップの世代交代(300名以下・メーカー)
- 中途入社比率がここ3年で高まり、自然と中途の若手社員の間でコミュニティが形成され、ベテランたちもそれに同調するものが少し表れてきた(300名以下・メーカー)
- 同好会制度により業務外コミュニケーションの支援を強化したこと、一部マネージャーがコミュニケーション課題に対し具体的なアクションを起こし、それが成果につながり始めていること(300名以下・サービス)
社内コミュニケーションが「悪化している理由」※一部抜粋
- 対面での交流が減ったから(1,001名以上・メーカー)
- 労働時間管理強化で隙間時間がなく気分転換の会話や交流ができない。また、「業務過多、労働力不足」で心に余裕のない人が増加(1,001名以上・メーカー)
- DE&Iが難しいから(1,001名以上・サービス)
- ソーシャルディスタンス確保の徹底により、人間関係が希薄になった状態に慣れてしまっている(301~1,000名・メーカー)
- 仕事の忙しさによる各人の負荷増大(301~1,000名・マスコミ・コンサル)
- 何も努力していないため(300名以下・サービス)
- 新人世代の理解不足とベテラン世代の説明不足。コミュニケーションツールの違い(300名以下・メーカー)
- トップダウンの社風(300名以下・メーカー)
- 経営からは数値実績以外を特に求められていない(300名以下・運輸・不動産・エネルギー)