自分から買わないお客様を“ディスる”トップ営業
営業スタッフ時代のこと。先輩や上司から「営業スタッフは謙虚であることが大切だ」と言われたもの。「失敗は自分のせい、結果が出たときは周囲のおかげと考えるべき」と教えられた。それは間違いではない。
実際、身近にいたトップ営業スタッフたちも謙虚だった。とくに長く活躍する人はどんなに結果を出しても「良いお客様に恵まれただけですよ」「周囲の人の協力があったからです」と話す。とにかく腰が低かった。
一方で、傲慢なトップ営業スタッフもいた。営業センスが抜群で、入社してすぐに結果を出す。なめてしまうもの無理はない。少しお酒が入れば「契約を取るなんてチョロいもんですよ。ガッハッハッハ!」と高笑いをする。
こういったタイプは例外なく足元をすくわれる。契約のキャンセルやクレームが発生。傲慢なため、周りからも協力されなくなる。一時、結果を出したとしてもあっという間に転落していく。その後、浮上することもない。みじめで悲惨な姿を何度も目にしてきた。
では謙虚なだけでトップ営業スタッフになれるのか? いや、そうではない。謙虚だが売れない営業スタッフも星の数ほどいる。実はトップ営業スタッフは別の一面を持っている。
ハウスメーカーのトップ営業とお会いしたときのこと。15年以上、ダントツの成績をたたき出しているツワモノだ。その方もまさに、謙虚で周囲への感謝の気持ちを忘れないトップ営業だった。しかし、別の顔を持っていた。
あるとき、契約にならないお客様に対してどう思うかという質問をしてみた。すると「自分から家を買わないお客様はバカですね」といった答えが返ってきた。これは意外だった。当然「お客様もいろいろな考えがありますから、仕方がないことです」といったことを言うと思っていたからだ
そのときは、「良い人に見えるが実は腹黒いのかな」と思った。しかし、そうではなかったのだ。