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2024年7月12日(金)13:00~18:20

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インサイドセールスにおけるトークスクリプトの重要性と作成のポイント


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 インサイドセールスの営業力の要となるのはトークスクリプトだ。トークスクリプトの出来によって、チームとしてのパフォーマンスが変わってくるといっても過言ではない。そこで本記事では、トークスクリプトの必要性や重要性に加えて、トークスクリプトの作成方法と例文を紹介する。

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インサイドセールスにおけるトークスクリプトの必要性

 インサイドセールスは、統一されたアプローチで顧客とのコミュニケーションを深めていく営業手法だ。その際に重要になるのがトークスクリプト。トークスクリプトとは、リードの選別や育成、商談化などのプロセスで何をどのように伝えたらいいのかというシナリオに基づいて作られた、営業上の台本だといえる。

 トークスクリプトが、インサイドセールスに不可欠な理由は、営業力の維持向上だ。例えば、担当者によって言葉遣いに差が出てしまってはいけないし、案内する情報が違ったり偏ったりしてもいけない。いつ誰が担当しても同じように対応することに意味がある。

 そのために必要なのが、営業プロセスを統一した(標準化した)手順書だ。インサイドセールスの場合、手順書には、マーケティングも含めた全体プロセス図と担当部門の役割、プロセスごとのフローやヒアリングシート、トークスクリプト、FAQなどがある。

 この中でも、担当者が話す際に用いるトークスクリプトは、顧客に与える印象に直接関係するという意味で重要だ。

 なお、テレアポは、リストアップされた顧客に対し、資料やサンプル送付など次のステップに進むための許可や顧客との商談のアポイントを取ることに特化されている業務だ。短期決戦のため、トークスクリプトはあっても、シナリオの必要性がないという点でインサイドセールスと異なる。

トークスクリプトの重要性

 次に、トークスクリプトの重要性を詳しく見ていこう。なぜトークスクリプトが重要なのか具体的に理解しておくことが大切だ。

トークスキルの標準化

 インサイドセールスにおいて、なぜトークスクリプトが重要かというと、営業トークは担当者によって差が出やすいからだ。パフォーマンスが個人のスキルや経験に大きく依存してしまうことを属人化というが、営業トークも例外ではない。その差異を均一化できるのが、標準化だ。

 成果を出している優秀な担当者が、いつどのようなときに何をしているのかをつぶさに観察するところから、標準化は始まる。言葉遣いはもちろんのこと、どのようなタイミングでリードから何を聞き出し、何を提案しているのかなどを文字に書き起こし、内容を整える。

 そうすることで、成功の方程式を見つけ出し、担当者全員で共有するという流れだ。優秀者のスキルから学び、インサイドセールス部門全体の底上げを図ることができる。必要に応じて改善し、さらにトークスクリプトを磨き上げていくことも可能だ。

課題や改善点の発見

 トークスクリプトがあると、話の流れ全体を把握でき、課題発見や改善がしやすい。

 日々、トークスクリプトをもとにリードと向き合うインサイドセールスは、担当者としてやりにくさを感じる箇所を拾える存在だ。トークスクリプトがあれば、それがどこなのかをすぐに確認でき、どのようにすればやりにくさを改善できるのかを考えられる。

 そのようにしてトークスクリプトは改善され、リードに対するアプローチとしての精度を上げていく。トークスクリプトの改定履歴は、できれば残しておこう。どのようにして改善が進んできたのかがわかり、インサイドセールスチームとしてのノウハウの蓄積もよくわかるからだ。

新人教育の省力化

 標準化のところでも触れたが、トークスクリプトには優秀者のノウハウが詰まっている。インサイドセールスの経験がない人でも、トークが得意ではない人でも、成果を上げられる仕組みを提供できるということだ。

 トークスクリプトに書かれている内容を十分に理解することが前提となるが、繰り返し口に出すことによって、自然な口調で話せるようになっていく。トークスクリプトに沿って話をすれば結果がついてくるといった成功体験を、早い段階で経験させることが可能だ。成功体験を重ねていけば、定着率の向上も期待できるだろう。

 トークスクリプトがあれば、一から新人教育のプログラムを組むことなく、仮に講師が変わっても、自社に必要なスキルやノウハウを新人に教えられる。その意味で、トークスクリプトは新人教育の少力化に貢献しているといえる。

インサイドセールスにおけるトークスクリプトの役割

 ここで一旦、インサイドセールスにおけるトークスクリプトの役割を確認しておこう。トークスクリプトの重要な役割は、次の2点だ。

  • 顧客の状況や解決したい課題をヒアリング
  • 課題解決案の提案

 顧客が商品やサービスを購入しようと考えるとき、そこには解決したい課題がある。電話やメールなどで問い合わせや資料請求をしてきたリードの状況や課題をヒアリングすることが、まずは重要だ。そこから、購買意欲がどれくらいあるのかという確認に入っていく。

 購買意欲の高さは、具体的な課題があるか、購入時期が定まっているかなどといった質問から確認可能だ。すぐにフィールドセールスに引き渡したほうがいいリードには迅速に対応し、見込み度がまだあまり高くないリードの場合、購買意欲の高さに応じて、適切なコンテンツを提供するという流れになる。

 この役割を忘れることなく、トークスクリプトを作っていこう。

トークスクリプトの作成方法

 ここからは、トークスクリプトの作成方法を見ていく。インサイドセールスチームがある場合には、チーム内の成績優秀者を、これからインサイドセールス部門を立ち上げる場合には、営業チームの誰のトークを参考にするか人選しておくことが前提となる。

トークの目的や相手などトークシーンを設定する

 自社商品やサービスの特性、購買層、販売実績、対応履歴などから、インサイドセールスで対応しそうなトークシーンを考えよう。よくあるケースをパターン化していく方法とインサイドセールスで掘り起こしを狙うターゲットを想定する方法がある。手がかりとなるのは、以下の項目だ。

  • ターゲットの属性
  • 問い合わせなどターゲットがアクションを起こした理由
  • インサイドセールスが目指すゴール

 この設定をした上で、ターゲットから何を聞き(ヒアリング)、何を伝え(提案)、コミュニケーションを終えるまでに何をしておくべきか(ゴール)を決めておこう。

顧客の話を聞き出すヒアリング手法

 ビジネス上のコミュニケーションでは、ポイントを押さえた上で相手の話を聞き出すことが重要になる。ヒアリングの手法としてよく知られているのが、BANTCH情報だ。

  • Budget(予算):予算規模、追加が可能か、取引中の企業への支払金額
  • Authority(決裁者):決裁権を持つのは誰か、決裁の承認フロー
  • Needs(ニーズ):相手が解決したい課題と解決後のイメージ
  • Timeframe(導入時期):導入または更新時期、未定の場合は購入意欲
  • Competitor(競合):検討中の競合他社、または利用中の商品・サービス、選定基準
  • Human resources(人員体制):実務担当者や実際に使う人、決裁者との関係、導入後の運用体制

 ここに挙げた項目をもとに、抜け洩れなく聞き取りができるようヒアリングシートを作成しよう。

顧客の心を掴む提案手法

 ヒアリング同様、提案にもポイントがある。代表的なのはSPIN話法だ。顧客に対して適切な提案をするために欠かせない情報を、以下の順番で質問することにより引き出す。

  • Situation(状況質問):現状を確認するための質問
  • Ploblem(問題質問):課題を聞き出すための質問
  • Implication(示唆質問):顧客が抱えている課題を解決する必要性に気づいてもらうための質問
  • Need-payoff(解決質問):課題解決策へと導く質問

 ここで重要なのは、急いで売り込まないことだ。質問を投げかけることで考えるきっかけを作り、一緒に課題解決策を考えていけるパートナーとして認識してもらうようにしよう。その上で提示される提案は、受け入れてもらいやすい。

トークの流れと分岐点を図示する

 前述したトークシーンの設定に基づき、どのような条件で話の流れが変わっていくのかを、わかりやすくフローで示しておく必要がある。

 営業トークには全体の流れがある。リードから返ってきたYes//Noなどの回答や反応によって対応が分かれるところを分岐点と呼ぶ。リードはそれぞれに異なるルートを辿っていくため、次の対応が分かるようにその流れをフローにしておく。

 以下の要素は、どのようなトークスクリプトにも共通するものだ。

  • フロントトーク(自己紹介、取次依頼(電話の場合)、趣旨説明)
  • メイントーク(案内詳細)
  • クロージング(アポイント調整、個人情報取得)

トーク内容の作成

 トークの分岐点をフローで示したら、伝える内容を加えていく。ここでのポイントは、以下の点だ。

  • トークスクリプトは話し言葉で、メールなら書き言葉で作成する
  • 箇条書きや要約を使わない
  • 一文を長くしすぎない
  • リードからの質問や指摘にどのように回答するかも用意する
  • 担当者が困った場合のセリフやアクションも準備する

 トークスクリプトは、実際に担当者が使う言葉で書く。箇条書きや要約では、インサイドセールスの担当者が対応に時間を要する可能性がある。また、一文を長くしすぎると、電話では一方的に話している印象を与えてしまうため注意が必要だ。リードからの質問や指摘にはこのように返すというところまで、作り上げておこう。

トークスクリプトの共有と改善

 完成したトークスクリプトは、共有し必要な人に使ってもらうことで初めて価値を持つ。情報共有システムやツール、メールなどでしっかりと周知しよう。

 公開した後は、定期的に見直す機会を設けて改善を重ねていこう。担当者が思いついたときすぐに提案を上げられるように、つねに改善提案を受け付けるようにしておいてもいい。そうすることによって、トークスクリプトがブラッシュアップされ、リードへのアプローチとしての確度も上がっていく。

すぐに参照できるトークスクリプトの例文

 最後に、実践的なトークスクリプトの例文を紹介しよう。挨拶とフロントトーク、メイントーク、クロージングという要素ごとに紹介する。取り上げたのは、電話によるSDRの代表的な例だ。

挨拶

 挨拶は、リードと最初に持つ接点だ。話すスピードや声のトーンにも気を配ろう。相手が法人の場合、電話の取り次ぎを越えた先に、話したい担当者がいる場合が多い。

 お忙しいところ恐れ入ります。私、△△をご提供しております、××社の●●と申します。先日、(部署名)部の〇〇様から資料をご請求いただいた件でご連絡差し上げました。〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。

(不在の場合)

 かしこまりました。改めてお電話いたします。失礼いたします。

(取り次ぎNGの場合)

 かしこまりました。今後、お電話は差し控えさせていただきます。どうもありがとうございました(電話を切り、メールで担当者に連絡する)。

(取り次ぎOKの場合)

 お忙しいところ恐れ入ります。私、△△をご提供しております、××社の●●と申します。先日は、弊社■■(商品・サービス名)の資料をご請求いただきありがとうございました。その件でご連絡差し上げたのですが、数分だけお時間を頂戴してもよろしいでしょうか。

フロントローク

 商品やサービスの概要を伝えるのがフロントトークの役割だ。SPIN話法のところで触れたように、積極的に売り込むのではなく、適切な質問を重ねていこう。

 お時間をいただきありがとうございます。本日は、1カ月間限定のキャンペーンをお知らせしたく、お電話を差し上げました。弊社ではただいま……(キャンペーンの概要を話す)。このようなキャンペーンにご興味はおありでしょうか。

(興味がない場合)

 左様でございますか。またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。お忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございました。失礼いたします。

(脈がある場合)

 左様でございますか。次回のキャンペーンや割引のご案内をさせていただいてもよろしいでしょうか。

(興味がある場合)

 ありがとうございます。では、キャンペーンについて詳しく説明させていただきます。

メイントーク

 メイントークは、商品やサービスの概要を伝えることでリードの興味を引いたり、現状や課題を聞き出すことが主な目的といえる。

 今回のキャンペーンでは......(キャンペーンの詳細を話す)。

(興味を持ってもらえなかった場合)

 承知いたしました。それでは、また機会がございましたらご連絡させていただきます。この度は、お忙しい中、誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

(興味を持ってもらえた場合)

 弊社■■(商品・サービス名)の資料をご請求いただく企業様は、〇〇といった課題をお持ちの場合が多いのですが、御社の場合はいかがでしょうか(ヒアリングからクロージングへ)。

クロージング

 クロージングでは、商談を先に進めるアクションを取り付けてから会話を終えるようにしよう。アポイントを取る、提案書を送る、セミナーや動画を案内する、メルマガ購読の許可を取るなど、リードの見込み度に応じた提案を心がけるのがポイントだ。

(ヒアリングを終えて)

 お話をお聞かせいただきありがとうございました。直接お伺いし、詳しくお話させていただいたほうがよろしいかと思いますが、ご都合はいかがでしょうか。

(訪問NGの場合)

 承知いたしました。それでは、御社用のご提案書を送らせていただきます。1週間以内にお送りしますので、ご覧になっていただけますと幸いです。その頃にまたご連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。

(訪問OKの場合)

 ありがとうございます。つきましては、日程調整をさせていただきたいのですが、来週でご都合のよろしい日時はございますでしょうか(訪問日時を決める)。では、〇月〇日〇曜日の〇時にお伺いいたします。追って、アポイント確認のメールをお送りいたします。本日は、お忙しいところご対応いただき誠にありがとうございました。失礼いたします。

まとめ

 トークスクリプトは、インサイドセールスに欠かせない重要なものだ。作成には相応の労力を要するが、属人化防止や新人教育の省力化、その後の継続的な改善による営業力強化を考慮すると、取り組む価値があるとわかる。

 自社の業界や業態、商品・サービスによって、ヒアリング項目やトークの分岐点は変わってくる。今回取り上げたトークスクリプトの作成方法を参考に、自社の武器となるトークスクリプトを作成しよう。

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