8割の「普通の人・できない人」を底上げするマネジメント
「優秀な人材が辞めてしまったため、一気に業績が悪化した」
人材不足が当たり前の時代、そんなことがあらゆるビジネス現場で起こっています。
組織論には「2割・8割の法則」というものがあります。ハイパフォーマーは全体の2割程度であり、あとの8割はその他大勢の「普通の人・できない人」ということです。2割のハイパフォーマー、つまりトップセールスが辞めてしまった際に、また新たに優秀な人材を見つけてこよう」……そんな図式は今やなかなか成立するものではありません。「今いる8割の人材をいかにハイパフォーマーへと育成していくか」という人材の底上げが、これからのマネージャー職に強く求められる課題でしょう。
実はハイパフォーマーの多くは、自身がなぜハイパフォーマーであるのかについては無自覚なものです。たとえばトップセールスに対して「なぜあなたはいつも素晴らしい成績を上げられるのですか?」「どんなことをすれば成約に結びつくのですか?」と聞いてみても、「いや、フツーにやっているだけですよ」と答えるだけ。自分の行動に対して無意識、または暗黙知であることが多いものです。
あるいは「お客様には真心を込めて対応しているからですね」「とにかくお客様の立場でものを考えます」など、具体的な行動ではなく、精神論的なものにその理由を見出そうとするかもしれません。
しかし当然のことながら、結果が生まれるには必ずそこに結びつく「行動」が存在します。マネージャーが今いる社員をハイパフォーマーへと育て上げるためには、ハイパフォーマーの「結果に結びつく行動」を見つけ、その他の社員へその行動の定着を促すことが必要です。こうした“再現性を重視した”マネジメントが、私たちの提唱する「行動科学マネジメント」です。
行動科学マネジメントの大きな特徴は、人の内面ではなく、人の「行動」そのものにフォーカスすることを徹底していることです。人間の行動原理は、万人に共通するもの。「相手の行動を変える」というアプローチによって、どんな個性・価値観の持ち主であれ、どんな属性の人であれ同じような結果を得られる……これが行動科学マネジメントの再現性の理由です。