周囲を応援して盛り上げる新メンバーの加入で……
知人のYさんは、とある会社でひとつの拠点の営業のマネージャーをしている。Yさんから“異動をきっかけにトップになった営業スタッフ”の話を聞いた。その話を聞いたとき、「そうか、その手があったか!」と思わず口に出して言ってしまった。
Yさんは自分で売るのは得意な人。しかし、チームをまとめるのはあまり得意ではない。営業スタッフたちのモチベーションを上げることに苦労していた。あるとき、異動でほかの営業所から営業スタッフのSさんが配属された。Sさんの成績は普通。とくに能力も高いほうではなく、Yさんも期待していなかった。
Sさんは「新しい環境に早くなじもう」といろいろな努力をした。そのひとつが“みんなを応援して盛り上げる”ということ。隣の営業スタッフが結果を出せば「すごい、最高じゃないですか!」と絶賛する。また、商談の雲行きが怪しくなったら「まだこの手がありますよ。大丈夫です」と応援してくれる。
Sさんは比較的明るい性格の人。それも影響し事務所の雰囲気が一気に良くなった。それからYさんの営業所の成績は上がっていった。営業所の成績と比例するようにSさんの成績も上がったという。
ひとりの営業スタッフが入ったことで営業所の雰囲気がガラッと変わる。暗い雰囲気の営業所に明るい営業スタッフが入ることが良い起爆剤となり、結果につながることは珍しくない。
逆のケースもある。ひとりの超ネガティブ思考の営業スタッフが入ったことで営業所全体の雰囲気が悪くなり、成績が下がっていくことも。少人数の組織ではひとりが及ぼす影響は大きい。
雰囲気が良くなり成績も上がったことに喜んでいたYさんだったが、突然Sさんの異動が告げられる。すると雰囲気は元どおりに。いなくなって初めて「Sさんの存在の大きさに気がつきました」と言っていた。ただ営業スタッフたちを応援することで雰囲気は良くなることを体感したYさんが、今は頑張って部下たちを盛り上げている。
その後、このSさんはどうなったのか。