カスタマーサクセスのゴール指標を3つに分けて考える
本記事を読んでいる読者には釈迦に説法だと思うが、カスタマーサクセスをひと言で表すと「顧客を成功に導くためのサポートを行い、自社サービスを長期的に使ってもらう取り組み」。自社のサービスを提供して終わりなのではなく、契約した顧客がその後うまくサービスを活用し、成果を上げられるように導くためのものである。
カスタマーサクセスはアメリカで広まったマーケティングモデルの一部で、日本にも広まりつつある。その要因のひとつに、サブスクリプションモデルのサービスが普及したことがあると言われている。
カスタマーサクセスの認知が高まり、重要性は高まっているがカスタマーサクセスの本来の役割を果たしている企業は多くない。そこで、カスタマーサクセスの実態を知るべく、市場調査を行ったところ次のことが判明した。
ひとつは、「各企業のカスタマーサクセスの解釈やフェーズが異なっている」こと。もうひとつは、「顧客の成果創出や、自社の業績への還元ができている企業は少ない」ということ。各企業がカスタマーサクセスと解釈している業務やゴール指標は、「(1)顧客サポート」「(2)顧客の成果創出」「(3)顧客成果の自社への還元」の3つに分かれていることが読みとれる。「(2)顧客の成果創出」「(3)顧客成果の自社への還元」の割合が低くなっているのがカスタマーサクセスの実態である。
以降「カスタマーサクセスの実態」をテーマに、(1)(2)(3)の背景や原因をデータを用いて考察しよう。
高まるカスタマーサクセスの重要性
SaaSを提供するベンチャー企業はカスタマーサクセスの重要性を日々感じていると思うが、それに限らず大手企業でもカスタマーサクセスの重要性は高まってきている。多くの企業が成長期・衰退期にある中、顧客インサイトを発掘し新たな価値提供を行う必要がある。また、新規顧客と接点が持ちにくくなっており、既存顧客との関係性・売上の向上を目指すことは不可欠だ。
実際に、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業の3社に2社(67%)の企業では、すでに「全社または部門単位でカスタマーサクセスを重要施策として位置づけて推進している」ことがわかっている。