初回商談突破には仮説提案が有効
かつてのBtoB営業においては、顧客の課題を正しくヒアリングし、それをもとにソリューション提案を行うのが一般的でした。ところが、第1回の「『攻めの営業』へ転換せよ! 顧客からの引き合いを待つ『待ちの営業』を脱するべき理由」でも解説したように、ソリューションの選択肢が増えすぎた昨今においては、顧客側に明確なニーズや課題がないことが増えています。
さらに、ここ数年の急速なリモートワークの普及により、「初回はオンライン商談」があたりまえとなりました。対面と違って顧客との間に「心理的な壁」ができやすくなり、課題をヒアリングしてもなかなか本音を話してくれない、というケースも増えているのです。
このような状況から、今後は、「顧客のニーズをヒアリングする力」だけではなく、「顧客自身がまだ整理できていない潜在的ニーズや課題に対して能動的に仮説を立てて提案する力=仮説提案力」が営業に求められるようになってきました。
そこで今回は、この「仮説提案」をつくる流れについて具体的にご紹介します。
「仮説提案営業」とは、「仮説提案を行う営業」のことです。仮説を立て、実行、検証し修正を行うという「仮説思考」を営業提案に応用したもの、とイメージしてみてください。
通常、初回商談では、汎用資料をそのまま使って製品紹介をしつつ、顧客の課題やニーズをヒアリングして、その内容をもとに提案資料をつくり、次の商談でプレゼンを行います。しかし、私が提唱している「仮説提案営業」では、顧客から話を聞く前に、先に仮説を立ててしまいます。すなわち、具体的な情報を聞き出す前に、自分の力だけで仮説を立てるのです。
一般的な流れでは、「顧客に明確なニーズがあるかないか」で商談の結果を左右してしまうため、ボールは顧客にありますが、仮説提案営業では、「こちらが準備してきた提案ストーリーで、ニーズの掘り起こしができたかどうか」で結果が変わります。つまり、こちらにボールがあるのです。そのため、「仮説提案力」を磨き、顧客のニーズ掘り起こしができるようになれば、一般的な新規開拓営業の手法よりも初回商談で案件化する確率を飛躍的にアップさせることができます。