資料とはビジネスマンが気軽に「可視化」できる唯一のツール
株式会社Kinocosの木下翔太と申します。デザインの観点からベンチャー企業の資金調達、上場会社のIRの支援をしています。上場・未上場含め、これまで約200社をサポートし、累計調達関与額は約200億円となりました、このほかにも、企業の営業資料の制作などを通して売上向上の支援も行っております。
資料づくりを生業としながら感じるのは、「資料がないと説明できないこと」がビジネスの場において非常に多いということです。また、そのシーンが年々増加していると感じています。
増加する背景には「クラウドサービスの増加・採用時の企業風土の説明・ビジネスモデルの複雑化」など様々ですが、これらを口頭で説明するのは難しいという点は共通しており、このような事象を説明する際は資料でビジュアルとともに説明する必要があります。
これは、私がよくセミナーで話していることですが「資料は、我々ビジネスマンが使える最も身近で、気軽に使えるビジュアライゼーションツール」です。
もちろん、静止画が主であるスライドよりも、動画で語った方がよりビジュアル度の高い説明ができますし、さらに言えば説明したい内容を実際に体験してもらうのが一番いいかもしれません。ですが、日々膨大な業務をこなす我々ビジネスマンは限られた時間の中で、最適なアウトプットを求められます。毎回動画を撮ったり、体験に同行することは実質不可能です。故に、我々は気軽に使えるビジュアライゼーションツールとして、パワポを活用し資料(スライド)」を作っているのです。
営業資料の重要性も年々高まってきている
「営業資料」という枠組みで考えると、「提案しているソリューション、サービスが目に見えるかたちで説明できる」点が、資料活用における大きな利点であると考えています。
SaaSなどのクラウドサービスが主流になり「手に持てない」サービスを販売することが一般的になってきている現代において、クラウド型のサービスを目に見えるかたちで説明することを可能にする「資料」の重要性は高まってきています。
サービスの利用イメージなどはデモなどで説明することができますが、サービスの具体的な特徴、解決できる課題、価格などの提案の詳細を説明するうえでは資料が最適であると考えます。今後もクラウド型のサービスの存在感が高まっていくことが想定されます。「触れないサービス」を提案する機会が多くなる分、情報を手にとれるかたちで見える化する資料の重要性はますます増していくことが考えられます。
「誰が」「誰に対して」「何のために」資料をつくるのか
営業資料を作成するうえで重要なポイント、それは資料の先に「誰が」いるかを想定することです。商談における営業資料の役割を整理する意味でも、「誰に向けてこの資料を作成しているのか」は常にクリアであるべきです。
「資料」という言葉ひとつとっても、ベンチャー企業の「代表」が「VC(ベンチャーキャピタル)」に対して「資金調達」を目的に活用することもあれば、「一般社員」が「プロジェクトメンバー」に対して「社内説得」することを目的とした資料もあります。当たり前ですが、このふたつの資料の中身・構成は同じものになりません。
私が企業から依頼された資料を作成する際は、プレゼンの「目的」とプラスアルファで「誰が」「誰に向けて」行うプレゼンなのか、を強く意識します。仮に営業資料の作成依頼をいただいた場合も同様で、「上長に説明するため」に作成するのか、「社外キーマンへの説得」に活用するのか、などをクリアにすることは非常に重要です。