エス・ピー・ネットワークが「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する実態調査を実施した。
顧客や取引先による悪質なクレームや不当要求を、販売員や従業員に突きつける「カスハラ」。国による対策も動き始め、消費者庁は2021年2月に「消費生活相談における相談対応困難者(いわゆるクレーマー)への対応マニュアル」を作成している。また、厚生労働省では「カスハラ」に類する「悪質なクレーム」について、企業がとるべき対策を指針で明示する予定を明らかにしている。なお、調査にあたって同社が定義した「カスタマーハラスメント」は次のとおり。
職場において行われる、又は業務に関して行われる
(1)優越的な関係を背景とした顧客(法人等の取引先を含む)の言動で、
(2)業務上又は社会通念上相当の範囲を超えて行われ、
(3)担当者の就業環境や業務推進を阻害し、又は担当者の尊厳を傷つける行為
調査結果
「新型コロナの影響でカスハラが増えている」は約2割
「カスハラ」の増減を尋ねる設問では、過半数が「変わらない」と回答。「減少した」という回答は5.7%、「増えている」旨の回答は4割弱と、「減少」以上に「増加」の声が集まった。なお、「コロナ禍で増加している」旨の回答は約2割であった。コロナ禍に関係のない社会変化のほかには、在宅時間の増加やコロナ禍におけるストレスも「カスハラ」の要因として推察されていた。
3割以上が「直近2年間で『カスハラ』が増加傾向にある」と回答
「カスハラ」の頻度に関して、「新型コロナ禍以前から増加しており、直近2年間でさらに増加した」という回答は17.7%、「コロナ禍以前はそれほど増加していなかったが、直近2年間で増加した」という回答は、14%であった。
「カスハラ対応方針を明確に打ち出している」という回答は11%
在籍している企業において、「『カスハラ』はどのようなものを指すのか」「どのような姿勢で臨むべきか」などの対応方針を明確に打ち出しているかを尋ねると、「対応方針が明確に打ち出されている企業に在籍している」という回答は11%であった。
定義について「検討・着手されていない」「コンセンサスが取れていない」旨の回答は72.2%で、調査対象の過半数では「カスハラ」指針策定の取り組みが進んでいないことが明らかに。なお、「定義も類型も明文化されている」という回答は4.9%であった。
調査概要
- 調査期間:2021年3月25日~26日
- 調査対象:企業でクレーム対応経験のある全国の20代から60代の会社員1,030人
- 調査対象職種:営業・販売、一般事務、専門職、総務・人事、カスタマーサポート、顧客管理・品質管理、技術・設計、情報処理システム、生産・製造等