セールスフォース・ドットコムが「金融サービス業界のトレンド」を発表した。2019年と2020年のデータの比較により、パンデミックの影響は顧客体験(CX)に及んでいることが判明。金融機関で優先順位の組み替えが行われている点に言及したうえで、金融サービス業界のトレンドは「コロナ後の成長を見据えて、新しいテクノロジーの活用を通じて競争優位性に取り組んでいる」と考察された。同社が発表したポイントは次のとおり。
- パンデミックによる金融サービス業界の優先順位の変化と顧客体験への影響
- 金融機関が採用した成長戦略とその方法
- 金融サービス自動化の役割
金融機関による優先順位の組み替え
68%の顧客が、新型コロナウイルスの影響で「企業に高いデジタル能力を期待するようになった」と回答。パンデミック前には最優先のビジネス目標であった「顧客体験向上の取り組み」は5位に後退し、デジタル需要の急増に対応する「新たなテクノロジーの実装」が1位に上がった。金融機関が「全面的に顧客中心」と考えている消費者や法人顧客は27%で、「金融機関がこの危機に最善を尽くして対応した」と考える顧客の割合は、23%であった。
成長志向の金融機関が取り組むCXの改善
「顧客は単なる取引関係以上のものを求めています」と述べられた。80%の顧客は、企業が提供する製品やサービスと同じくらい、その企業が提供する「体験」を重視していること、そして顧客の3分の2が「自分のニーズや期待事項を企業に理解してほしい」と回答する結果に。
成長実現に向けて重要な役割を果たすインテリジェントオートメーション
AIや自動化などのテクノロジーは、顧客の期待と金融機関が「実際に提供できるもの」との間のギャップを埋めるのに役立つ。一例として、リテールバンキング分野であれば、過去の行動に基づいた口座振替の自動化などが想定されることが述べられた。保険の分野では、大量のリソースが必要な手作業から発生する「保険金請求業務の自動化」が挙げられた。
調査概要
- 調査対象:北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の保険、リテールバンキング、ウェルスマネジメント分野のリーダー。【初回】1,400名【2回目】1,360名
- 調査期間:【初回】2019年11月12日~12月12日【2回目】2020年8月21日~9月21日