1月29日、『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』を上梓したR-Square & Company 代表・山下貴宏氏は、出版を記念したセミナーを六本木ヒルズにて開催した。会場にはセールス・イネーブルメントの実践企業や検討中企業を含め、約95名が集まった。
著者である山下氏は、前職のセールスフォース・ドットコム時代に同社のセールス・イネーブルメント部門の拡大に大きく貢献。営業組織力を強化するセールス・イネーブルメントを素晴らしいテーマだと感じながらも、取り組むことが難しいと考えている企業が多いことを実感し、その支援のためR-Square & Companyを2019年7月に立ち上げた。
「今回は『営業組織強化のアプローチを広げる仲間を増やす』ために、会を主催しています。日本でセールス・イネーブルメントに取り組んでいる企業はまだ多くはないですが、本日はすでに取り組んでいる企業の方も多く集まっていらっしゃるので、ぜひ有益な情報交換の場にしてほしいと思います」(山下氏)
書籍の編集を担当したかんき出版・庄子氏も挨拶を述べた。
「正直、山下さんにお会いするまではこの概念を知りませんでした。当社としても出版業界としても硬派なビジネス書がそこまで多くないなか、もう重版も見えているほどに順調な売れ行きで、多くの人に必要とされていたのだと感じています。2年ほど前に山下さんと出会ったのですが、当時印象的だったのは、ご自身も営業時代に売れる理由も、売れない理由も明確にできず苦しんだという原体験をお持ちだったこと。加えて、営業は楽しい仕事だということを広めていきたいという熱い想いに心を動かされ、出版に向けて一緒に取り組んできました」(庄子氏)
コンサル時代から営業人材育成と成果測定の分断を根深い課題だと感じていた山下氏だが、SFAをはじめとする営業テクノロジーの観点からその根拠やつながりをデータで示すことができる時代になってきたこと、日本には海外と比べて「セールス・イネーブルメント」に関する有益な書籍がほとんどなかったことからから、このタイミングでの出版に踏み切ったという。
「セールス・イネーブルメントのトレンドが広がるなか、実務的な定義をすることが必要だと考えました。育成と成果の連動を阻害する課題の構造を解き明かしたかったのです。さらには、プログラムの組み方や取り組むときに必要な5つのフェーズの考え方、実際に成果を挙げている企業の実例も多くの方々にお伝えしたかった。そのようなことを書籍に詰め込んでいます」(山下氏)
たとえば、セールス・イネーブルメントの起点はデータの分析にあり、データがあって初めて「どの育成テーマが重要か」を特定できるという。「成約率が下がっている」「セールスプロセスが長すぎる」というような課題に合わせ、それを解決していくような育成プログラムを組んでいく必要があるということだ。
2020年も引き続き、セールス・イネーブルメントの認知拡大に向け、セミナーや企業向けの個別説明会に力を入れていくという同社。並行して取り組んでいる「セールス・イネーブルメント」をシステム部分から支援するクラウドサービスのローンチも直近予定していると発表した。さらに深い取り組みとして「イネーブラー」がノウハウを共有できるコミュニティをつくっていくことや、各社固有の課題に合わせたワークショップを提供する予定があることも発表。2020年同社の取り組みとともに「セールス・イネーブルメント」への注目がますます高まっていくだろう。