クレームを受けた際に絶対にやってはいけないこと

営業スタッフから「クレームさえなければなぁ……」といった話を聞く。
クレームはもっとも厄介で、かつ重要なことだ。これはリアルな対面営業であろうと、Zoomなどを活用したリモート営業であろうと同じこと。多くの営業スタッフは「クレームに関わりたくない」と考えている。その気持ちはよくわかる。クレーム処理に時間を費やしても、直接数字や評価に結びつきにくい。
過去の私も「クレームなんかに時間をとられていたのでは、新規の契約が取れなくなる」と考えていたものだ。しかし、クレーム対応を後回しにすると、そのツケは何倍にもなって自分自身に返ってくる。場合によっては、あなた自身の立場だけでなく、会社全体の根幹を揺るがすダメージになることだってある。
私自身も体験してきたがクレームを甘く見た人ほど、大きな痛手を負う。結果を出し続けたいなら、クレームの取り扱いには十分注意をしなくてはならない。
たとえば、お客様からクレームが入ったとする。ここで致命的なミスを犯す営業スタッフは少なくない。そのミスとはお客様が怒っているときに正論をぶつけてしまうこと。お客様の話を聞く中で、間違いがあったとする。
「いやいや、それはお客様の勘違いですよ」
「契約時にきちんと説明してあります」
「補償内容には含まれておりません」
などなど。こちらとしても自分に非がないことを理解してもらうために事実を伝えたくなるものだが、これは火に油を注ぐことになる。
クレームを受ける場面でもっとも大切なのは正しいことを伝えることではない。いくら正しかったとしても、「この人、謝る気がないんだな。こっちは頭にきているんだぞ」と怒りに拍車をかける結果になる。
優秀な営業スタッフはそんなことはしない。まずは「お客様の感情を受け止めること」から始める必要がある。お客様が感情的なときは、冷静になるまで待つ。なによりもまず、話をじっくり聞く。これは、クレーム対応の鉄則なのだ。
この対応をきちんとできるかどうかが、「お客様との信頼関係を深めるか」「関係を壊してしまうのか」の分かれ道となる。クレームが発生したらすぐに駆けつけ、お客様の感情が収まるまでじっくり話を聞く。この初動が命だ。
今回知っていただきたいことは、ほかにもある。それは、「サイレントクレーマー」への対処だ。声を荒らげて怒る人よりもむしろ怖いのが、“静かに怒っている人”である。