油断が命とり!「サイレントクレーマーへの対処方法」
サイレントクレーマーは、基本的に表情も穏やかで口調も冷静。だからこそ、営業スタッフとしてはついつい軽視してしまう。
「この方はあまり怒っていないな」
「このくらいの不満なら、大きな問題にはならないだろう」
「この仕事が終わってから対処しよう」
などなど。こういった油断が命とりなる。私も過去、このタイプのお客様に痛い目を見せられたことがある。
ハウスメーカー時代のこと。現場を見たお客様が普通の口調で「この部分は思っているのと違うと思うのですが」と言ってきた。
それに対して「写真や図面とはイメージが異なります。こんなものですよ」と返答をしてしまった。その場ではそれで済んだが、そのお客様がカスタマーセンターにクレームを入れた。社内的に大問題となり、対応チームが動くことになった。
私への信頼はお客様からも社内からもガタ落ち。こうなってはじめて「なんであんな対応をしてしまったのが……」と頭を抱えたのだ。
このケースは私の信頼がガタ落ちしただけで済んだ。さらに深刻なのがネット上への書き込み。こうなってしまうとダメージが永続的に続いてしまう。
知人が経営する飲食店でのこと。あるお客様が店員に対して「スープがちょっとぬるいのですが」と言ってきた。穏やかな口調だったので店員は「味には問題ありませんよ。どうしますか?」と軽く対応した。
その場では「大丈夫ですよ」と笑顔で帰っていったお客様。しかし数日後、口コミサイトには★1の評価と、詳細な不満のレポートがアップされていた。
そのとき、知人のお店の近くにライバル店が出現していた。そこに★1の評価をつけられたことでお客様が半減する。それからは社員やバイトにクレーム処理を徹底させているという。幸い、今はなんとか客足が戻ってきたが、ひとつ間違えば店を閉めるところだったと語っていた。
今の時代、お客様からの評価の影響力は大きい。なぜなら、私たちは“評価社会”に生きているからだ。
- SNSでの投稿
- 口コミサイトでの評判
- インフルエンサーのコメント
これらは確実に売上や信頼に直結する。お客様が“あなたの対応にどう感じたか”が数値化されて残り、拡散され、次の見込み客の判断材料になる。良い口コミもあれば、たったひとりのサイレントクレームが、未来の売上を大きく削る可能性があるということだ。

では、今後あなたはどうすればいいのか? すべてのクレームに真摯に対応すること。怒っているか、怒っていないかで判断してはならない。どれだけ静かでも、お客様が何かを伝えてきたなら、それは“重要なメッセージ”なのだ。その声に、誠実に真摯に丁寧に耳を傾ける。そうすることで「対応に誠意があった」と評価される。
「この営業担当者は話を聞いてくれる」
「この会社は対応が丁寧だった」
そんな感想が広がれば、ネットの評価も自然と上がり、あなた自身のブランド力も強化される。
怒っている人だけがクレーマーではない。静かに失望し、静かに離れていく人ほど、真に怖い存在なのだ。今日からサイレントクレームにも全力対応するようにしていただきたい。
あなたの誠実な対応は、未来の信頼につながる。その積み重ねが、圧倒的な営業力となっていくものだ。