“要望が反映されていない提案書”にガッカリ
お客様と商談する際、“手帳やノートにメモをとる”といった営業スタッフがどれほどいるだろうか? 今はかなり少なくなっただろう。
先日、資産管理の営業スタッフと面談した際に、いろいろと要望を伝えた。営業スタッフは話を聞きながらタブレットに入力していた。入力というか、なにかを選んでタップしているといった感じだった。
それを見て「細かい要望をメモしなくて大丈夫かな」と少し心配になったものの、そんなに内容は複雑ではない。この程度ならば問題ないと思いながらその日の面談は終了した。
そして、後日提案書が提出された。提案書を見ると私の要望が反映されているとは言えない内容だった。しかも「これだけは忘れないでください」といった内容が入っていない。きっと忘れてしまったのだろう。とにかくこの提案書にはガッカリした。
この営業スタッフは感じの良い人で、よほどの問題がないかぎりお願いしようとも思っていたが、この提案では話を進める気にならない。当然のことながら、この話はお断りした。
聞いていた要望をタブレットだけに入力し、必要なことを書き留めない。お客様から話を聞いているときは、「この程度の内容なら覚えているだろう」と思ってしまうのも理解できる。
しかし、1日経ち、2日経つと「あれ? なにか重要なことがあったと思うが……」と曖昧になってしまう。人の記憶はそんなものだ。
「エビングハウスの忘却曲線」で言われる、次のようなデータも有名だ。
- 1時間後には56%忘れる
- 1日後には67%忘れる
- 2日後には72%忘れる
もちろん個人差はあるが、人の記憶はこんなもの。試しに2日前の晩ご飯を思い出してみてほしい。よほどインパクトがないかぎり、忘れているものだ。
営業力がなくて断られるのは仕方がないこと。しかし、単なるミスでチャンスを失うのは悔しい。今回の商談もメモをしていればかんたんに防げたことだ。
トップ営業スタッフはお客様から要望を聞く際、必ずメモをとる。しかも、タブレットやパソコンも使うが、しっかりとアナログのメモ帳に書いていることが多く、要望のモレがなく、マッチした提案をしている。そのほかにも、アナログのメモには商談を有利に進める効能がある。具体的な事例を紹介しよう。