決算書から見えてくる、リクルートHDが右肩上がりの理由とは
リクルートホールディングス(以下、リクルートHD)の売上高が右肩上がりだ。14年の株式上場時からほぼ倍増。19年3月期は2兆3,000億円を突破した。国内企業としては60位クラス。日本たばこ産業や旭化成を上回り、東レや住友化学と肩を並べる水準である。
同社はすでに、人材サービス世界大手の仲間入り。ビッグ3のアデコ(スイス)、ランスタッド(蘭)、マンパワーグループ(米)にも迫ってきた。アデコとランスタッドの売上高は約3兆円、マンパワーグループは2.4兆円である(ユーロ125円、1ドル110円換算)。
リクルートHDの成長エンジンはM&A(買収・合併)だ。国内人材派遣事業のスタッフサービスHDをはじめ、米国や欧州、豪州企業などを次々と買収。求人情報検索サイトを世界的に運営する米国インディード(Indeed)の買収・子会社化も実現させている。
買収を積極的に進めてきたことは、リクルートHDの決算書における「のれん」に示されている。
買収価格が買収先企業の資本を上回った場合、その上回った分をのれんとして、バランスシートの資産に計上するのが基本。リクルートHDは18年度期中において世界的なオンライン求人広告・企業情報サイトのグラスドア(Glassdoor)の買収を完了させているが、買収価格約1,430億円のうち1,005億円をのれんに計上した。その結果、19年3月期におけるのれん総額は4,106億円に積み上がった。前期比で約1,000億円の増額だ。
のれんの増加と比例するように売上高が伸び、7%前後の売上高当期利益率を維持。利益の蓄積を示す利益剰余金も増額になるという好循環である。
リクルートHDはグループで展開する事業を「HRテクノロジー」「人材派遣」「メディア&ソリューション」の3つに分類している。
リクルートHDの概要
現在、同グループが成長事業と位置づけ注力しているのは「Indeed」や「Glassdoor」を中心に展開しているHRテクノロジー事業だ。
おおまかにいえば、“仕事探し”と“仕事提供”をマッチングさせるビジネス。IT(情報技術)を活用した求人広告や人材採用に関するサービスの世界的な展開である。グローバル化をさらに加速しようということだ。
60か国以上・28言語でサービスを展開する「Indeed」の月間ユニークビジター数は約2億5,000万人だという。
「Glassdoor」は給与情報や採用面接時の質問内容など、いわゆる企業のクチコミサイトであり、ユーザーから直接提供された膨大な情報のオンラインデータベースを保有する。
つまり、「Indeed」の求人検索技術と「Glassdoor」が持つ企業情報の融合により、求職者と求人企業の両方をサポートする。それがHRテクノロジー事業だ。
リクルートHDによれば、採用活動に「Indeed」を利用する求人企業、人材紹介企業、人材派遣企業が増加しているという。18年度のHR事業の売上高は3,000億円台に乗ってきた。