「データドリブンセールス」の実現に必要なふたつの要素
法人企業マスターデータベースを独自で構築し、データクレンジング、データ一元化、企業属性付与などのソリューションを提供するユーソナー。820万件の拠点データを保有した顧客データ統合ソリューション「uSonar(ユーソナー)」を提供し、企業のデータ活用支援を行っている。
湯浅氏は「データドリブンセールスとは経験や勘をもとに意思決定することではなく、顧客データや企業データなどの傾向をもとに意思決定すること」と説明する。つまり、データをもとにした営業戦略を立てて新規開拓を行い、業績アップにつなげていく仕組みだ。
データドリブンセールスを実現するにあたっては「ターゲットの最適化」と「アプローチの脱属人化」のふたつの要素が重要だという。
抜け・漏れをなくす「ターゲットの最適化」
まず、ひとつめの要素「ターゲットの最適化」について湯浅氏はこう語る。
「かつては『自分のお客様は製造業が多い』『昔はこの業界でよく売れていた』など、営業担当者の勘によってターゲットを決める傾向がありました。たしかに勘は重要ですが、属人的な指標でターゲットを決めてしまうと、抜け・漏れが多くなってしまいます。もしかしたら『売れるはず』の企業を見落としてしまう可能性も少なくありません。そこで、データにもとづいたターゲット戦略を実施することが必要になります。これにより、営業担当者の視野から外れていた有望な業界や企業が判明する可能性があるのです」(湯浅氏)
実現のためには、各部門・システムにおける「データの散在」という課題を解決しなければならないという。部門やシステムごとに社名表記がカタカナ/ひらがなと違っていたり、旧社名のまま登録されていたりしては、データの分析精度が落ちる可能性があるからだ。
顧客データ統合ソリューション「uSonar」では、「LBC」と呼ばれるユニークな企業コードを顧客データに付与することができる。これにより、同一企業としてデータを認識できるようになり、分析精度を高めることができる。
このデータ分析が、ターゲット戦略や営業戦略を進めていくうえでは重要だという。具体的には次の3つのステップが示された。
ステップ1として、自社の中に散在するさまざまなデータ(顧客リスト、セミナー参加者のリスト)をクレンジングする。ステップ2で「LBC」により顧客データを“名寄せ”して一元化する。ステップ3では、顧客データと市場データを掛け合わせて「顧客として有望ながらまだ接点を持たない企業=ホワイトスペース」を明らかにする。これを行うことで「自社サービスが売れている市場」ないしは「未開拓の市場」を可視化でき、営業戦略立案のヒントが得ることができるわけだ。
データに基づく戦略により、商談数が120%に伸長!
データ一元化により成果を挙げた企業事例として、企業や学校に研修を提供する事業会社の取り組みが紹介された。
この企業では、見積書のフォーマットが人によって異なったり、別の担当者が同じ企業を重複して登録していたり、問い合わせが来ても営業担当者を照合できなかったりという、さまざまな問題が生じていた。
そこで、上流から下流まで統一の企業データを参照できるようにするため、同社はユーソナーのデータベース「LBC」を採用。導入の決め手として、企業系列情報のデータベースから取引先のグループ会社の情報まで参照できること、事業所単位の情報も得られること、さらに学校情報も把握できることなどが挙げられた。
また、「LBC」と導入済みのSFAを連携することでホワイトスペースを見出したり、SFA上の顧客情報を名寄せしたりすることができ、ターゲット戦略に役立てることができたという。
そして、実際にさまざまな定性的・定量的成果につながった。たとえば企業から問い合わせが来た際、その企業の親会社を担当する営業につなげることができ、親会社との取引実績も参照しながら効率的に商談を進めることが可能になった。また、今後攻めるべきホワイトスペースのリスト化も可能になったほか、どの業界に集中すべきか分析できるようになった。その結果、商談数は120%に増え、DMなどのアプローチ施策の反応率は2倍に伸びた。
「uSonar」の4つの機能で「アプローチの脱属人化」も実現
データドリブンセールスを実現するために必要な要素ふたつめ、「アプローチの脱属人化」においても「uSonar」が効果を発揮する。
湯浅氏によると、アプローチ活動における課題として「ターゲットのリストアップや情報収集に時間がかかる」「ある程度スクリプトはつくるものの、企業に合わせて話す内容をカスタマイズできない」といった声がよく挙がるという。
そこに対して「uSonar」は、「確度の高いアプローチリストを瞬時に作成する」「企業情報を活用して興味を持ってもらえる仮説を立てる」といった機能を提供する。その具体的な機能として4つの機能が紹介された。
ひとつめは「企業属性」。企業名から売上や業種といった基本的な企業属性情報を取得することができる。
ふたつめは「行動特性」。自社ウェブサイトや外部ウェブメディアの閲覧・検索履歴から得たインテント(興味関心)データにより、ターゲティングを行うことが可能となる。
3つめは「ツール導入状況」。MA(マーケティングオートメーション)やアクセス解析ツールなどの導入状況を特定でき、自社サービスとの親和性を確認できる。
4つめは「ストーリー(企業の定性属性)」。さまざまな公開ソースから情報を収集・分析して「この企業は〇〇の特徴がある」という属性を持たせることもできる。たとえば働き方改革への関心、DX推進や設備投資への関心などの属性を持たせることが可能だ。
企業の“ストーリー”や“背景”を認識したアプローチが可能に
続いて湯浅氏は「uSonar」の実際の画面でデモンストレーションをしながら、ターゲットリストの作成や仮説立てをどう進めていけば良いか解説した。
まずターゲットリストを作成する際、さまざまな条件を掛け合わせてリストを作成することができる。たとえば「人材業界」という属性を選択すると、自動的に対象企業が一覧で表示される。「売上高」「従業員数」などの属性を追加することでさらに絞り込むことも可能だ。
また、「ストーリー(企業の定性属性)」から絞り込む場合、たとえば「新卒採用をしている企業」などで絞り込むことができ、「新卒用研修を求めているというニーズがあるのではないか」と推察しながらリストアップできる。また掛け合わせも可能であり、「人材業界×売上高×新卒採用をしている」と条件を掛け合わせてリストアップすることもできる。
さらに湯浅氏はこう続ける。
「ツール上で、商業登記簿情報や売上/従業員数の推移なども閲覧できるため、『企業の状況=コンテキスト(背景)』を推し量りながらアプローチすることができます」(湯浅氏)
そのほかにも、どのような業種か、利益が出ているか、採用活動を行っているかといった情報も閲覧できる。こうしたストーリーは1,500種類ほど用意されており、商談のきっかけや切り口にできるという利点がある。
また、企業ホームページや求人メディアなど1万7,000を超えるメディアに掲載されている情報を企業情報に紐づけている。これらの最新情報は商談前のアイスブレイクにも使えるという。
また既存のSFA/CRMと連携すれば、企業との関係性や接点が自動的に表示されるため、アプローチの重複も即座にチェックできる。逆に「接点のない企業」に絞り込んでリストアップすることも可能だ。
以上の説明を振り返り、改めて湯浅氏は、データドリブンセールスの重要性を強調した。
「営業担当者の勘・感覚だけに頼っていれば、抜け・漏れが生じる可能性も少なくありません。自社が保有する企業データやSFA上にあるデータを可視化し、どこにニーズがあるかを分析したうえでターゲティングをすることが重要です。また個社にアプローチする際は、個社ごとのコンテキスト(背景)も把握してアプローチを行うことが大切です」(湯浅氏)
湯浅氏は「こうしたデータ分析を、ユーソナーのソリューションやツールで支援することができます。データドリブンセールスの仕組みづくりについて、ご興味のある方はぜひお問い合わせください」と強調し、セッションのまとめとした。
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