リード=自社に興味がない集団という大前提
私自身の考えとしてSales Tech活用や新たな組織づくりを検討する際、まだまだアップデート可能かつ、必要だと思う領域のひとつがマーケティングやインサイドセールスが担っている「ナーチャリング」の領域です。一方で、「過剰とも言えるアプローチ活動がクレームにつながってしまっている」というのもナーチャリング領域における根深い問題であり、どこから修正していくべきか悩ましいですが、まずは身の回りで見えてきた事実から整理していこうと思います。
これまでの仕事を通じ、「買い手企業」の方々とつながる機会も多くあります。買い手の方々は、展示会やネットワーキングイベントなどに参加されますが、名刺交換をしたあとに、売り手企業から来るメルマガの嵐や架電によるアポイント依頼に対してネガティブな印象を持っている発言や発信を目にすることが多いです。
BtoBの商売は、対象が大手(エンタープライズ)かSMBと呼ばれる中小企業かで大きく分けることができますが、大手企業や上場企業は日本国内ではほんのひと握りです。そこに対して、マスマーケティングを行ってアプローチをするのは非効率ですよね。ですから、いわゆるエンタープライズ対象の営業活動では、エグゼクティブクラスとマネジメントクラスとプレイヤークラス、もしくはインサイドセールスとフィールドセールスとマーケティングというように社内でチームを組んで、それぞれのレイヤーでコミュニケーションを継続させていきます。これがいわゆるABMの取り組みです。シンプルに言えば、対大手の営業では、売り手企業から買い手企業に働きかける「アウトバウンド」の活動が必要だということです。
一方、本日お話するインサイドセールスの課題は、どちらかと言うとSMBをターゲットにするビジネスに適していると言われる「インバウンド」、もしくは「プル型」と言われる領域のお話です。
役立つ情報を提供し、お客様の情報を得てつながり続ける必要があるわけですが、フローとしては魚の養殖にも例えられると思います。決して、お客様=養殖魚というわけではないのですが、たとえとしてご了承ください。
まず稚魚(まだ関心の薄い見込み客)を自分たちの会社の生け簀(データベース)に集めるところから始まりますが、当然稚魚は食べられる状態ではありません。まずは体調管理のために水をきれいにしたり、成長のために適切な餌を提供したりする必要があります。手間をかけて育て上げて初めて、ピックアップし、出荷したり、食したり、ということができるのです。
ここでお伝えしたいのは、最初に接点を持ったタイミングではお客様は、さしてその企業や売り物に興味はないということです。リード=自分たちに興味がない集団という前提にあらためて立ってほしいのです。