「部下に関心がない」と思われてしまう理由
対面で上司とコミュニケーションを取る機会が減少し、部下たちは孤独感を感じやすい状態にあります。とくに、まだスキルやマインドが確立されていない若手営業パーソンに対しては、上司が積極的に接点をつくる必要があります。なぜならば、部下のモチベーションアップ、ひいてはチームの営業成績向上に直結するためです。そこで本稿では、適切なフィードバックを行いながら部下のモチベーションアップも実現する「オンラインコミュニケーションのコツ」を実例とともにご紹介します。
私は研修・コンサルティングの一環で、IT企業の社内オンライン会議に同席する機会が多々あります。これらの経験に基づいて、オンラインでの上司と部下のコミュニケーションでよく遭遇する「NG事例」を5つのパターンに分類しました。そのうえで、各課題に対して上司側が取り組める解決策をご紹介します。
NG事例1: そもそも、フィードバックを行わない
「部下に嫌われたくないから」「パワハラと言われたくないから」と放任主義のスタンスを取るのは、コロナ禍中に就任した新任マネージャーに多く見られる傾向です。部下側からすると、「自分に無関心なのではないか」と見放された気持ちになりかねません。何かアドバイスがほしいとき、上司が目の前にいれば気軽に聞けたことも、リモート環境下だと遠慮をしてしまって聞きづらい――結果、コミュニケーションが希薄化し、モチベーションが低下する恐れがあります。
実際に、研修中に行われた私との1on1セッションで「上司が私に無関心で、まったくフィードバックしてくれず……なんだかやる気がでません」と悩みを打ち明けてくれた若手の営業メンバーが何人もいました。 解決策としておすすめしているのは、チームの定例会などで「これから、毎週の個人面談のタイミングでフィードバックタイムを設けます。そこでは、その週の業務で気づいたことを共有しますね」と宣言し、チーム運営上のアクションのひとつに「フィードバックタイム」を組み込んでしまうことです。
仕組み化してしまえば、フィードバックを伝えやすくなりますし、部下自身も事前に心の準備ができるためアドバイスを受け止めやすくなります。なにより、定例化することで「今週のフィードバックはありますか?」と部下自身が言及しやすくなる点もメリットのひとつです。上司も言いたいことが言えますし、部下も「自分に関心を持ってもらえている」と感じることができ、コミュニケーションの活性化と部下のモチベーション向上につながります。