ベテランオペレーターは相手のタイプに合わせてコミュニケーションを変える
ビジネスの生産性を高めるうえでコミュニケーションは極めて重要です。しかし新型コロナウイルス感染症の流行により、いままで対面で行っていた業務の多くがリモートに切り替わり、日常のコミュニケーションに大きな変化が生じています。リモート環境では、伝わる情報に制約があり、画面や音声のノイズやタイムラグも生じるため、対面以上にコミュニケーションの巧拙が目立ちます。
前回の記事「行動傾向からわかる4つの『ソーシャルスタイル』 自分と顧客のタイプを理解し営業活動を円滑に進めよう」では、行動科学によりコミュニケーションのタイプを分析する「ソーシャルスタイル理論」および理論活用により業績向上を実現した企業の事例を紹介しました。相手の言動をもとに「感情を表す/感情表現を抑える」と「意見を主張する/意見を聞く」のふたつの軸を用いて4スタイル(ドライビング、エクスプレッシブ、エミアブル、アナリティカル)に分類し、対応方法を変えることで円滑なコミュニケーションが可能となります(詳細は前回記事を参照)。今回は、ソーシャルスタイル理論をリモートでのコミュニケーションに活かす方法とコールセンターでの事例をとり上げます。
筆者はこれまで多くのコールセンターでの調査や分析を行ってきました。オペレーターにアンケートやインタビューを行い、電話対応をするうえで苦手なタイプを聞くと「高圧的で冷たい感じの人」「細かいところばかり気にする人」「優柔不断で決められない人」「話があちこち拡散する人」など答えもさまざまです。
一方、ベテランのオペレーターからは「やりとりをしながら相手の性格などを感じ取り、相手に合わせて話すスピードや会話の内容を変えている」という話がでてきます。このような日常で苦手を感じ、工夫をしてきた経験も、実はソーシャルスタイル理論で科学的に説明可能です。