富士通と、米国を拠点とするAIスタートアップMoBagel (モベーゲル)は、MoBagelのAutoMLプラットフォーム「Decanter AI(デキャンターエーアイ)」に、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」からも提供されている技術の一部を搭載し、AIによる予測を高速化するソリューションとしてグローバル提供を開始したことを発表した。なお、今回の提供は2023年12月に締結した、AIにより企業のビジネスプロセスを変革するための戦略的パートナーシップに基づいている。
具体的には、機械学習モデルの構築を自動化する技術である「Fujitsu Kozuchi AutoML(オートエムエル)」と、説明可能なAI技術「Fujitsu Kozuchi XAI」の一部である「Wide Learning」のライセンスを富士通がMoBagelに提供し、MoBagelはDecanter AIに新規のソリューションとして実装することで、データ分析とモデリングを合理化しながら、AIモデルを構築するための高度なAIソリューションを可能にする。
AIによる予測を高速化するソリューションの概要
Decanter AIに実装されたAIによる予測を高速化するソリューションは、次の3つの機能からなる。
1.データ検証と異常スコアリング
入力されたデータは、モデリングの際の精度の確保と処理の高速化のために、DecanterAIのデータ処理技術によって検証される。このスコアリングでは、情報の整合性と有用性の観点から、データが3段階でランクづけされる。このシステムは、分析とモデリングのためにデータセットを評価し、より良いデータ管理のためにデータを調整する方法を提案する。
2.アルゴリズム推奨システム
Fujitsu Kozuchi AutoMLの技術をベースとしたアルゴリズム推奨システムが、もっとも適した機械学習モデルを提案する。これにより、モデリングの効率と精度の向上が可能になる。
3.説明可能なAIのための特徴分析
機械学習モデルによって分析された結果には、Wide Learningの技術をベースとした特徴分析技術が、実践的な洞察を提供する。特徴分析により、重要な特徴を重みづけとともに提示し、それらの重要性と関連性を示す。さらに、特定された特徴は大規模言語モデル(LLM)により自然言語で要約される。
Decanter AIにFujitsu Kozuchi AutoMLとWide Learningを搭載した結果、機械学習モデルがシステムから推奨されることで、AIによる市場予測において、従来のDecanter AIと比べて精度を維持したまま処理速度を4倍に高速化した。また、Wide Learningによって強化された特徴分析技術によって関係性を最適化して複雑なデータを考察し、自然言語の形で表示されることで、実行に移せるレベルの提言を導き出すことが可能となった。
富士通 技術戦略本部長 岡田英人氏のコメント
当社はAIサービス「Fujitsu Kozuchi」の提供を通じて、エンタープライズ向けのAI市場をリードしています。このたび、MoBagelのような革新的なスタートアップ企業に「Fujitsu Kozuchi」にも搭載されている「AutoML」や「Wide Learning™」を提供することで、お客様の迅速なAI導入と新しいAIオファリングの開発を支援していきます。
MoBagel CEO Adms Chung氏のコメント
富士通とのパートナーシップを嬉しく思います。両社は革新的なAI技術を導入し、AIトランスフォーメーションにおける精度、スピード、コスト効率という業界の最も重要な課題に対応しています。「Fujitsu Kozuchi AutoML」と「Wide Learning™」をMoBagelのAIプラットフォームに搭載することで、AIモデルの開発と統合が改善され、より説明しやすくなり、ビジネスへの影響との整合性が向上します。このコラボレーションにより、企業はAIアプリケーションやAIエージェントをより速く、より信頼性が高く、費用対効果の高い方法で作成できるようになり、AIを一緒に構築するという私たちのビジョンに近づきます。