セールスフォース・ジャパンは、企業が生成AIを活用するうえで求められる信頼性および柔軟性を高めるEinstein 1 StudioおよびSalesforce Data Cloud(以下Data Cloud)の4つの機能を提供すると発表した。これにより、ユーザー企業は自社のニーズに合わせて生成AIを活用し、生産性や顧客体験の向上が可能となる。
Einstein 1 Studioの概要
Einstein 1 Studioは、Salesforceの管理者や開発者がEinsteinの体験をカスタマイズし、顧客や従業員体験のために、CRMアプリにAIをシームレスに組み込むためのローコードのツールセット。Einstein 1 Studioには、Copilot Builder、プロンプトビルダー(Prompt Buider)、モデルビルダー(Model Builder)が含まれており、今回、Salesforceが国内で提供を開始するEinstein 1 Studioの機能は、以下のとおり。
- プロンプトビルダー(Prompt Builder):カスタムされた再利用可能なAIプロンプトを作成
管理者や開発者がノーコードでカスタムされた再利用可能なAIプロンプトを作成できる。CRMアプリおよびData Cloudに統合した顧客データなどを、プロンプトに容易に埋め込む(グラウンディング)ことができるため、企業データの価値を最大化し、AIコンテンツの生成が可能。セールスやサービス、マーケティングなどの業務で適切な文脈を有するプロンプトテンプレートを作成し、SalesforceのCRMアプリの業務フローに組み込み活用することができる。
- 提供時期:2024年3月8日より日本市場での一般提供開始
- モデルビルダー(Model Builder):ユースケースに合わせて適切なLLMを選択
ビジネスを単一のLLMに制限するほかのソリューションとは異なり、さまざまなAIモデルに接続できる柔軟性を提供する。Salesforceが標準で提供する大規模言語モデル(LLM)から選択することも、自社で使用するLLMを使用することもできる。また、モデルビルダーは予測AIモデルにも対応しており、Salesforceパートナーの予測および生成AIモデルを、データの移動またはコピーすることなく、Data Cloud上で活用することが可能。企業がData Cloud上のデータを活用して、ローコードで独自の予測AIモデルを構築することもサポートする。
- 提供時期:2024年3月8日より日本市場での一般提供開始
- Copilot Builder:
Einstein Copilotを自社のビジネス向けに設定、カスタマイズできるようになる。
- 日本での提供開始は未定
Data Cloudは、Salesforceに組み込まれたハイパースケールデータプラットフォーム。企業はSalesforceのあらゆる製品およびシステムからすべての顧客データを接続、連携、調和させることができ、情報源となる。今回、Salesforceが国内で提供を開始するData Cloudの機能は、以下のとおり。
- データフェデレーション:Bring Your Own Lake
SnowflakeおよびGoogle CloudのBigQuery上のデータを、SalesforceのData Cloudに実データのコピー作業なし(ゼロETL)で連携し、データを統合することができるようになる。営業や顧客サポート、マーケティングといった顧客接点において生成AIを活用するためには、企業内の顧客データを生成AIに連携できることが必要。しかし、顧客データは企業内のさまざまなシステムに分散しているため、顧客軸でデータを統合し、AIで活用できるようにしておくことが求められる。本機能により、複雑なETL処理なしで、主要なデータレイクおよびウェアハウス上のデータをData Cloudへ共有し、AIへの活用など、さまざまなユースケースにて活用することができるようになる。
- 提供時期:2024年3月中旬より日本市場での一般提供を開始予定
- Data Cloud ベクトルデータベースおよびEinstein Copilot Search
Data Cloud ベクトルデータベースにより、PDF、メール、会話記録などの非構造化データを含むあらゆるビジネスデータと、購入履歴、カスタマーサポートケース、製品在庫などの構造化データが統合され、生成AIのプロンプト上でグラウンディングして活用できるようになる。
Einstein Copilot Searchは、ユーザーのリクエストを受け取り、Data Cloud ベクトルデータベースに埋め込まれたデータに対して類似性検索を実行し、関連性が高く正確な回答を作成することができる。また、回答には出典資料の引用が明記される。これらふたつの機能を活用することで、SalesforceのPlatform上でRAG(Retrieval Augmented Generation)を容易に構成し、生成AIを業務に活用することが可能になる。
- 提供時期:2024年3月中旬より日本市場でのパイロット提供を開始予定