ジェイフィールは、現役マネジャーへの実態調査を実施。変化の激しい時代に現役マネジャーが抱える悩みと必要とする支援について、オンラインによる聞き取り定性調査およびアンケート形式による定量調査を行い、その結果を発表した。
オンライン面談による定性調査
概要
- 調査形式:オンラインによるインタビュー形式
- 調査地域:全国
- サンプル数:合計12s
- 調査対象者:
1.従業員数300人以上の民間企業の従業員(上場企業もしくはそれに準ずるような企業)
2.正社員
3.課長職以上
4.人事/労務職(年齢不問、役職の条件あり)
- 質問項目:マネジメントの悩み、マネジメントの魅力、マネジャーに必要な支援、マネジャーの役割の変化
- 実査期間:2022年4月1日(金)~4月29日(金)
調査結果
1.MBO(目標管理)が通用しない
- 環境変化が激しく年初の目標が意味を持たず、その場での現場対応が進む。
- ジョブ型で年初に掲げなかったものを、メンバーが進んでやろうとしてくらない。
- 情報共有ツールが高度化した結果、情報が階層を超えて共有されるケースが増えており、大きな意思決定は部長が行うようになり、課長の存在感が薄れていると実感する。
2.上下の価値観の違い
- 上からは厳しい成果のプレッシャー、しかしメンバーには優しくしろ、と言われて戸惑う。
- 課長に必要なのは、成果とタフネスさとゴルフの腕という認識がいまだにある。
- 昇進を目指すことが前提の世代と前提ではない世代、上司の指示は絶対という認識と絶対ではない認識などの価値観の違いがあり、マネジメントの難しさが高まっている。
- 自らは、上を目指す最後の世代という認識が強い。しかし、若い世代がマネジャーを志してくれるかは疑問が残る。マネジャー人材に懸念がある。
3.マネジメントの変化
- これまでの常識:会社の価値観を浸透させること。
- 上司は出世をさせることが幸せという考え、メンバーは別のことに幸せを感じていると思う。
- これから(今)の常識:個々の価値観を受け入れること。
- 課長がメンバーに1on1を申し入れても、素直に受けてもらえない。
インターネットによる定量調査
概要
- 調査形式:インターネット調査
- 調査地域:全国
- サンプル数:合計376s
- 調査対象者(1~4and条件):
1.従業員数300人以上の民間企業の従業員
2.正社員
3.入社3年以上
4-1.営業職、情報システム職、研究開発職のいずれかで、54歳以下の課長職
(営業系103人、ITエンジニア系67人、R&D系103人、計273人)
4-2.人事/労務職(年齢不問、課長以上)
- 質問項目:マネジメントの悩み、マネジメントの魅力、マネジャーに必要な支援、マネジャーの役割の変化
- 実査期間:2022年6月6日(月)~13日(月)
調査結果
マネジャーの苦労・悩みについて、全体で「部下の能力把握や育成が難しい」(43.4%)がもっとも多く、R&D系以外の職種でトップとなった。
R&D系は「プレイング業務とマネジメント業務のバランス」(42.7%)がもっとも多く、「部下の能力把握や育成が難しい」(36.9%)、「成果へのプレッシャーが高い」(34.0%)と続いた。 人事職では、他の職種よりも「上司との意思疎通が難しい」(31.1%)を選択する割合が多くなった。
1週間あたりの業務割合について、全体では「プレーヤー業務」(35.5%)の割合がもっとも多く、部下育成などの人のマネジメントに使えている時間は15.8%となった。
マネジメント力向上の課題について、全体の78.7%が「人のマネジメント」に課題があると回答した。なかでも「コーチングスキル、対話力の向上」(38.3%)、「意思決定力、リーダーシップ力の向上」(29.3%)と回答する割合が多かった。
必要なサポートについて、全体で「マネジメント上の悩みを相談、共有できる場」(39.9%)がもっとも多く、「マネジメント力向上の教育や研修」(39.4%)、「マネジメントの実践例やノウハウを共有する場」(38.0%)と続いた。また、全体の29.0%が「自分(マネジャー自身)に対するコーチング、キャリアカウンセリング」と回答した。
マネジャーの魅力について、全体で「報酬が上がる」(47.6%)がもっとも多く、人事職以外のすべての職種でトップとなった。次いで「仕事の意思決定の自由度が高まる」(39.6%)、「会社に認められる」(34.3%)と続いた。 人事職は、他の職種と比較して「社会的価値の高いプロジェクトを動かせる(社会的影響力が高い)」(20.4%)、「部下の育成やケアができる」(39.8%)と回答する割合が多かった。
未来のマネジャーイメージについて、45.2%が「マネジャー(課長)をやりたいと思う人は減っている」と回答した一方、55.1%が「マネジャー(課長)の重要度は、今より高まっている」と回答。そのほか、「事業推進と人材のケア・育成の分業化が進む(AIが行う業務と人材育成など人が行う業務の分業が進む可能性)」(53.2%)、「AIによるマネジメント業務の代替が増える」(50.0%)、「人材のケア・育成に専念している」(43.6%)に回答が集まった。
未来のマネジャーの役割重要度について、営業系は「人材系」(65.0%)の重要度が高くなると予想し、 R&D系/ITシステム系は「組織系」(R&D系59.2%、ITシステム系65.7%)の重要度が高く、人事職は「事業系」(68.0%)の重要度が高かった。一方、どの業種でも、「部下の心のケア」を選択する割合が多かった。