新型コロナウイルスの感染拡大により、就職・採用活動のオンライン化が進行。企業理解が深まらないまま内定を手にするケースもあり、内定後のフォローアップは重要さを増している。そこでディスコは、今春入社者に対して実施された内定後フォローなどに関する調査データを中心に、企業・学生双方の立場から見た内定者フォローの実態や影響について調査を行い、結果を公表した。
コロナ禍で変化した企業との接点
2021年卒者の就職戦線は、採用広報開始のタイミングでコロナ禍が広がり、会社説明会や OB・OG訪問、面接まで急遽オンラインに切り替わった。
内定を得た企業との接点も大きく変化。インターンシップを除いて、対面での接点が「一度もない(ウェブのみ)」が3割(30.2%)、「1回のみ」が2割強で、本選考で対面機会がほとんどないまま内定に至ったケースが少なくなかった。また、内定後のフォローについてもオンラインが主流となったが、そのことで入社に向け不安を抱える学生も少なくなかったとみられる。
内定期間中の不安
内定期間中の不安についてたずねると、「不安を感じた」と回答した学生は9割に上り(90.3%)、大半が入社まで何らか不安を抱えて過ごしていることがわかる。
具体的には、「仕事についていけるのか」がもっとも多く(62.0%)、ここに「入社後、人間関係がスムーズにいくか」(58.2%)、「社会人の生活リズムに慣れるのか」(56.8%)が続く。学生から社会人へという立場の変化を前に、さまざまな不安を感じている様子がうかがえる。セミナーやOB・OG訪問など企業研究の場や選考過程において、対面での接触機会が大きく減少し、得られる情報が限られていたことも、不安につながったと見られる。
内定期間中に受けたフォローの内容
学生に対し、入社予定企業から内定期間中に受けたフォローの内容をたずねたところ、もっとも多いのは「内定式(オンライン含む)」(72.1%)だった。これに「内定者懇親会(オンライン)」(61.0%)、「人事からの定期連絡」(58.0%)が続く。内定者懇親会はオンラインと対面形式とに分けてたずねたが、対面は約2割にとどまった(23.3%)。
実際に受けたフォローのうち入社意欲が高まったものを選んでもらい、入社意欲向上への寄与度合いを算出してみた。これを見ると、「内定者懇親会(対面)」と「社員を交えた懇親会(対面)」は参加した学生のうち7割近くが、入社意欲が高まったと回答している(69.2%、68.9%)。オンライン形式に比べ参加した学生は少ないものの(23.3%、19.5%)、入社意欲の醸成という点では、対面での実施のほうが効果を発揮したようだ。
内定者フォローで企業が意識することと学生の実感
企業が内定後のフォローや研修を実施する上で意識することをたずねた。「入社意欲の維持、醸成」が7割強で最多(73.9%)、ここに「内定者同士のコミュニケーションの活性化」が6割強で続く(67.0%)。
これに対して、フォローや課題を通して「入社意欲の維持、醸成」を実感した学生は30.7%、「内定者同士のコミュニケーションの活性化」は25.5%にとどまる。
学生の実感をフォローの形式別(オンライン中心か否か)で算出したところ、「入社意欲の維持、醸成」で大きな差が見られた。オンラインよりも対面のほうが入社意欲の醸成につながることがわかる。しかし、実際にはコロナ禍で対面での実施が難しいこともあり、実感できた学生は少なかったと見られる。
ただ、学生からはオンライン懇親会を重ねることで不安が軽減されたという声や、内定者SNSなどでしっかりコミュニケーションが取れたという声も挙がっており、工夫次第で効果を高められると考えられる。
調査概要
学生調査
- 調査方法:インターネット調査法
- 調査機関:ディスコ キャリタスリサーチ
2020年10月調査
- 調査時期:2020年10月1日~6日
- 回答者数:993人
2021年2月調査
- 調査時期:2021年2月19日~3月4日
- 回答者数:1,133人
企業調査
2021年2月調査
- 調査時期:2021年1月27日~2月5日
- 回答者数:1,174社