クラウドCTIを提供するシンカは、2019年12月16日に新宿三丁目のライブハウスで記者発表会「音声テックの未来」を開催した。12月16日は日本で初めて電話が開通した日である。
発表会では、シンカ・代表取締役社長の江尻高広氏が登壇。同社はCTIを提供するスタートアップで今年4月に約7億円を調達している。2016年に190社だった導入先は、2019年11月現在1400社となり、2000拠点で活用されている。
11月にクラウドCTI「おもてなし電話」から顧客接点クラウド「カイクラ」に名称変更した同社のサービス。導入企業は不動産が32%、自動車関連が16%となっており高単価で購買頻度が低いものに活用されやすいと同社は分析している。
「カイクラ」は顧客からの電話を録音し、テキスト化する機能を備えている。今回は「キーワード自動ピックアップ」の機能がリリースされた。これにより、企業ごとに電話応対者が特定のキーワードを話したかどうか自動で抽出することが可能となる。
また来年にかけてリリース予定している機能が「テキストの自動要約」やAIチャットボットと連携した「FAQ機能」だ。電話応対者は、電話を保留にしPCに話しかけるだけで適切な回答を社内FAQから引き出すことができる。
さらに社内の流行を察知するための「キーワード10」機能も追加予定。電話でよく出てくるワードをランキング形式で明らかにすることにより、「需要が高まっているのか」「品質に問題が出ているのか」などのポイントや課題を可視化する。
「会話をテクノロジーで進化させる」未来を目指す
「テクノロジーの進歩で生産性が高まっていくなか、ますます会話が大事になってくるでしょう。私が若いころは『ほうれんそう=報告・連絡・相談』が重要だと言われていましたが、いまは『ざっそう=雑談・相談』を大事にしなさいと言われることもあるそうです。僕は世の中のおもしろいことや会社の人間関係への気づきはこれから雑談から生まれていくと思っています。ビジネスにおける会話は顧客との電話も社内の雑談も含め、企業のビッグデータになっていくと思います。その分析にはテクノロジーが必要です」(江尻氏)
NTT東日本・西日本によれば、固定電話の契約数のピークは1997年の6322万件。現在は2,000万を切り、3分の1ほどになっている。しかし、急激に減っているのは家庭用の固定電話であり、法人の固定電話契約数は微増という状況だ。同氏は続けて「固定電話に関する活用調査」の結果を発表した。
調査結果詳細
Q.あなたは直近1年以内に、会社にかかってきた固定電話の対応をした経験はありますか。
Q.重要な話(クレームや重要得意先からの連絡など)が、会社の固定電話にかかってきたことがありますか。
Q.仕事において、固定電話は必要な存在だと思いますか。
Q.会社の固定電話にかかってきた電話を取るのは、嫌だ・ストレスだと感じますか。
Q.固定電話で受けた内容を社内に伝える際、情報伝達がうまくいかなかった(認識違い、伝達漏れなど)ことはありますか。
調査概要
- 調査対象:1年以内に企業における固定電話の対応を行った人(※「あなたは直近1年以内に、会社にかかってきた固定電話の対応をした経験はありますか。」 については、経営者を含む会社に勤めている10,121人の回答結果)
- 調査人数:1,064
- 調査方法:インターネット調査
- モニター提供元:インテージ
- 調査期間:2019/12/03~2019/12/05
調査結果を受けて、江尻氏は以下のようにコメント。
「東京は、電話以外のコミュニケーションツールを活用している人が多く地方と差が出るのではないかと思っていたので大きく差がでなかったことは意外でした。もうひとつ意外だったのは情報伝達でミスをしたことがある人は1~2割程度と予測していたのですが、5割もいたことです。こういうものもテクノロジーで解決していくべきだと考えています」(江尻氏)
2019年11月現在、同社のサービス上には顧客データが18,288,000件蓄積され、総着信件数は35,759,000件にも及んでいる。同社は今後、これらのデータの分析をより進め、マーケティングなどにも活かすことのできるデータとしていくことを目指している。