CX起点営業の極意とは、顧客とともに「成功体験」をつくること
電波の届かない山でも現在地がわかる登山地図GPSアプリ「YAMAP」を提供するヤマップは、アプリを提供するだけでなく、自治体や民間企業向けにもさまざまな支援を行っている。その成功の鍵を握るのが「CX起点営業」だとヤマップの大土氏は語る。
ヤマップの顧客は「登山者(BtoC)」と「自治体(BtoG)/民間企業(BtoB)」に分けられるが、本セッションでは「自治体/民間企業」に向けた営業活動について解説された。具体的な営業活動としては、自治体に対しては地域の認知拡大、誘客促進、地域との関係人口の創出などの支援を、民間企業に対してはクライアントの商材、ブランド、コーポレートの価値向上施策を行っている。この領域を担当する営業組織は、年間で50以上の自治体/民間企業と連携し、顧客価値の創出に携わっているという。
自治体/民間企業に対する「CX起点営業」とはどのような営業なのか。大土氏は次のように述べた。
「CX起点営業の極意とは、顧客とともに『素晴らしい体験=成功体験』をつくりあげることです。営業組織ではどうしてもKPIや売上、インサイドセールスではアポ率や商談化率が指標になりますが、最終的には『顧客が成功体験をつくる』ことが、継続的な案件受注につながると考えています」(大土氏)
また、CX起点営業を行うことで得られるメリットが3つ挙げられた。ひとつめは、自社の営業担当者が業者ではなく「仲間」だと顧客から認識されること。ふたつめは、顧客が商材の価格を見る前に「一緒にやろう」と言ってくれるようになること。そして3つめは、成功体験を「顧客自ら広げてくれる」こと。つまり、顧客自身が営業担当になったかのようにサービスを広げてくれることだ。これら3つのポイントは、実際にヤマップの顧客にもあてはまるという。
ヤマップの顧客の案件属性(新規/継続)を数字で見ても、継続案件が約85%を占めており、リピート率の高さがうかがえる。また、新規案件の100%が顧客からの問い合わせによるものであり、営業がアプローチをせずとも新規案件を獲得できていることがわかる。このように、新規案件獲得では「企業側が顧客を選べる状態」が理想の状態だと大土氏は言う。
では、このような成果を創出した「CX起点営業」とは具体的にどのような取り組みなのか。大土氏は岐阜県川辺町での成功事例を挙げた。