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海外データ・プラットフォーム戦略 4ヵ月間のGAIA-Xへの新規加入企業数は195社/矢野経研調査

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 矢野経済研究所は、海外データ・プラットフォーム戦略を調査し、注目を集める欧州独自のデータインフラである「GAIA-X」への新規加入企業数、その動向、展望、課題を明らかにした。

調査結果概要

 世界の主要国・地域において、各国が主導してデータ・プラットフォームを構築しようとする動きがある。とくに欧州では世界に先駆けてGAIA-Xというデータインフラの構築に向けて動き出している。

 GAIA-Xは、欧州域内外のさまざまなクラウドサービスを独自の方式で相互に接続し、運用するクラウドフェデレーションによる分散型データインフラである。また、このデータインフラ構築には、“プライバシー保護に対する意識の高さ”という欧州独自の価値観がベースとなっており、データセキュリティやデータ主権という機能を、データインフラ上に具現化した先進事例ともいえる。

 GAIA-Xは、IDSA(International Data Spaces Association)という機関を通じて普及活動が積極的に行われており、2020年11月時点で約350社の企業が参加している。そのなかには、米国のアマゾン、マイクロソフト、グーグル、中国のアリババなどのハイパースケールクラウドも名を連ねている。

 また、2020年12月から2021年3月までの新規加入企業は、合計で195社、累計で約550社に拡大している。新規加入の内訳をみると、ドイツ企業が61社(構成比31%)ともっとも多く、次いでフランス、イタリアがそれぞれ37社、ベルギー13社、スペイン10社となっている。また、EU圏外からは、米国から7社、英国が2社、中国やシンガポールからもそれぞれ1社の企業が参加している。今後、他国や他国企業に遅れをとらないよう、日本や日系企業はデータ流通の規格や実装に向けて、官民一体となった取り組みが求められていくと考える。

注目トピック/現時点でのGAIA-Xに関する動向、展望、課題

動向~GAIA-Xから読み取る欧州データ戦略の狙い

 基本コンセプトは、“既存の異なるクラウドサービスを連結し運用するクラウドフェデレーションによる分散型のデータインフラの構築を目指す”。すなわち、GAIAXは既存の大手クラウドベンダと競合する位置づけではなく、むしろ補完かつ活用するポジションを担っていると推測される。これには、“欧州のプライバシー保護に対する意識の高さ”という欧州独自の価値観が大きく関係していると考えられる。

展望と課題

 GAIA-Xは、ドイツの「インダストリ4.0」の進化形ともいえる、自動車産業のサプライチェーン・ネットワークであるCatena-Xを取り込み、パイロットプロジェクトを始動させている。GAIA-Xはすでにドイツ工業規格は取得済みであり、欧州規格から国際規格への進展を図るとともに、今後はモビリティや金融をはじめとしたほかの産業へと横展開できるか否かが普及のカギとなる。

 一方で、欧州においても、民間企業はまだまだ様子見という見解も少なくなく、GAIA-Xプロジェクトに参加する企業や団体の所属する国単位の主要窓口であるGAIA-X Hubsの参加拡大をベースに、まずは欧州内の大企業からいかに賛同を得ていくかが第1のハードルとなる。

 また、実装において技術的に確立されていない点も課題であるが、こうした技術的な課題は遠からず解決されていくと考えられる。しかし、グローバルでの展開となれば、米国クラウド法とEUのGDPR(一般データ保護規則)とのギャップを乗り越えていく必要があり、すでにデータインフラ構築は国家戦略にも関わる重要課題となっていることから、法制度レベルで意見をすり合わせするのは意外と時間がかかる可能性があるのとこと。

調査概要

  • 調査期間:2021年4月~6月
  • 調査対象:欧州を中心とした、米国、中国、インド、日本のデータ・プラットフォーム関連機関・団体・企業
  • 調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含)、ならびに文献調査併用

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