2021年4月、改正高年齢者雇用安定法の施行により「70歳までの就業確保」が事業主の努力義務となった。2025年には「65歳への定年引上げ」が全企業へ適応される見込みとなっている。サイボウズ チームワーク総研では、55歳以上のシニア社員約3,000人を対象に「職場との関わり」についての意識調査を行った。
70歳までの就労機会拡大や65歳定年といった「就業年齢の上昇」に対し7割が歓迎
「就業年齢の上昇」について意識を聞いたところ、「歓迎する」が7割となった。
理由を自由回答で聞いたところ、「歓迎する」と回答した人では「収入の確保」「年金などの生活不安」が大きな理由として挙がった。また「社会とのつながりや貢献」「元気だから働ける」「良い選択肢やチャンスの増加」といった声もあった。
一方、「歓迎しない」と回答した人では「体力的な厳しさ」「早く退職/リタイアしたい」「年金支給年齢を遅らせるためのものだから」「人生をゆっくり楽しみたい」、また、高齢者が働き続けることで「若い人の雇用・成長への影響」を懸念する声もあった。
66歳以降も働きたい人は55-60歳層/61-64歳層それぞれ4割ほど
「何歳まで働きたいか」について、55-60歳・61-64歳それぞれに聞いた。両層とも「61-65歳まで」が多いものの、「66歳以上」も4割ほどとなった。
辞めてもよいと思える早期退職割増金額、「501万円~1,000万円」16%
さまざまな企業で早期退職の制度がみられるなか、早期退職の割り増し分がいくらであれば辞めてもよいかを尋ねると、「501万円~1,000万円」16%、「1,001万円~1,500万円」13%だった。一方で「お金では辞めない」とした人が約2割おり、もっとも多い割合となった。※退職金全体ではなく「割り増し金額のみ」について回答
職場でコミュニケーションが取れている人は、職場との関係性がポジティブ
働きたい年齢ごとに、職場とのコミュニケーション実感の有無を調べた。55-60歳層/61-64歳層ともに、長く働きたいと思う人ほど、職場でのコミュニケーションがとれている実感も高くなっていることがわかる。
職場とご自身との関係性について調査すると、「職場で役に立っている実感」「職場になじんでいる実感」「経験や知見がいかせている実感」いずれの質問でも、「コミュニケーションがとれている実感がある」人のほうが多い結果に。そして、「職場で自分の役割が明確だという実感」「職場全体の使命(果たすべきこと)への共感」といった、職場のチームワークに影響する項目においても、「コミュニケーションがとれている実感がある」人のほうが多くなっている。「業務効率を高めたい」でも差がみられ、働く意欲への影響も推測された。
職場での雑談時間は「10分~30分未満」4割
職場での雑談(業務には直接関わらないコミュニケーション)の時間を尋ねると、「10-30分未満」が4割で最多となり、雑談をしていない人は6%という結果に。
※過去1週間の勤務日について、1日あたりの平均時間
※対面だけではなく、E-mail(メール)・電話・グループウェア・チャット・ウェブ会議ツールの使用も含む
仕事の悩みを話す相手、女性に比べ男性は限られる 男性の3割は「特にいない」
「仕事の悩み・モヤモヤを、話したり相談したりする相手」を複数回答で聞いたところ、男女で傾向に差が見られた。具体的には、男女とも「同じ部署の同期/同僚」が最多だが、男性の25.9%に対し女性は39.6%。「家族」「社外の友人知人」でも、女性のほうが高くなっている。逆に「特にいない」とした人は男性で3割を超え、女性は2割を切る結果となった。
調査概要
- 調査目的:シニア世代の「組織に関わる就労意識」を探り、今後の就業者高齢化を見据えた、組織内協業のあり方の参考とする。
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調査対象:企業などの雇用者 3,093名(正規職員・従業員、派遣社員、契約社員、嘱託/役員、パートアルバイトは含まない)
年齢:55-64歳
エリア:全国
割付条件:就業実態に寄せるため、男女/年代/勤務先の従業員規模 で割付 - 調査期間:2021年6月4日(金)~6月7日(月)
- 調査方法:パネルを活用したインターネット調査