企業の危機管理を総合的に支援するエス・ピー・ネットワークは、全国の「在宅勤務を一部でも導入している企業」に勤務する会社員・役員に対してアンケート調査を実施。あわせて、同社サービスの第三者内部通報窓口「リスクホットライン」に、寄せられた新型コロナウイルス関連の通報内容を検証した。
調査結果の詳細は、次のとおり。
在宅勤務導入企業のうち、制度がある企業は全体のおよそ2/3。1/3は制度がないまま在宅勤務開始
現在、在宅勤務を実施している企業の6割以上が、すでに制度として在宅勤務を導入しているという結果となった。「正式に制度化されていない」まま在宅勤務を実施している企業も34%にのぼっており、新型コロナウイルス感染症の拡大および国や自治体の緊急事態宣言などに応じて、制度を整える間もなく在宅勤務に移行している可能性が見受けられる。
73.9%が新型コロナウイルスの収束後も在宅勤務を継続したほうが良いと回答
「新型コロナウイルスの動向が落ち着いたあとも、働き方のひとつとして、在宅勤務を継続したほうが良いと思うか」の質問には、「在宅勤務を継続したほうがよい」、「部分的に継続したほうがよい」とした回答が73.9%という結果になった。
在宅勤務の働きやすさについて「とても働きにくくなった」と回答した層でも、62.4%が継続したほうがよいと回答しており、新型コロナウイルス収束後も、働き方のひとつとして在宅勤務を取り入れることが望まれていると推測される。
働き方の変化以外で気になること「収入(給与・賞与)」が4割で最多 「健康・体調」「メンタルヘルス」の不安もそれぞれ2割程度
「働き方の変化、在宅勤務の状況」についてのアンケートの前に、「現在もっとも気になること」を調査したところ、「収入(給与・賞与)」が41.3%でもっとも多い結果に。
続いて、「健康・体調」が17.3%、さらに「漠然とした不安感」「心理的な変調」「孤独(コミュニケーション不足)」を合わせると4割近い割合となっており、身体の健康やメンタルヘルスへの影響も注目しなければいけない問題といえる。
通常勤務(出社)と在宅勤務の働きやすさは「変わらない」がもっとも多い結果に
働きやすさの変化は、すべて在宅勤務となった場合、在宅勤務と出社の両方がある場合のいずれも「変わらない(全体23.9%)」がもっとも多い結果だが、平均値は「すべて在宅」が+0.014、「在宅と出社の両方」が-1.112で、両方の働き方をしている人がすべて在宅の人よりも働きにくさを感じていることがわかった。
「働きにくい」を選択した層に注目すると、「在宅ができない部署との不公平感、軋轢」、「在宅扱いだが実質自宅待機(何もできない)」、原則的に在宅勤務をしているものの、「押印や経費精算」、「当番制」、「出社しなければできない業務がある」といったことに従業員が働きにくさや不満を抱えやすいことがうかがえる。
情報セキュリティ、労働環境の課題解決が新型コロナ対策から働き方改革としての在宅勤務への移行に不可欠
在宅勤務を月1日以上している人を対象に、「在宅勤務時に障害となっているもの」を調査したところ、紙の資料が手元にないなど、業務上必要な資料がないこと(37.5%)がもっとも大きな支障になっているという結果となった。
また、「正式に制度化されていない」企業の回答者では2割以上(22.8%)が「特にない」を選択しており、制度が整わないまま在宅勤務に入ったことで、サイバーセキュリティや個人情報の取扱い、資料の持ち出しなどのリスクを包含した状況である可能性が考えられる。
セキュリティや情報管理について、自由記述の回答には、「在宅勤務時に自宅のパソコンを利用しており、通信のセキュリティの安全性に不安がある」、「個人情報や一定の資料に出社しないとアクセスができない(認められていない)」「自宅での通信速度が遅く、スムーズに仕事ができない」といった問題点が挙げられた。
また、「迷惑メールが増えた」という、すでにセキュリティ上のトラブルに発展している可能性がうかがえる回答も。情報管理やセキュリティ対策については、個人任せにせず、会社が対策を行い、指針を適切に周知することが重要だといえる。
調査概要
- 調査方法:アンケート調査
- 調査期間:予備調査…2020年4月22日(水)~4月23日(木)、本調査…2020年4月24日(金)~4月26日(日)
- 調査方法:インターネット上のアンケート調査
-
調査対象:全国の在宅勤務を導入する企業に勤める会社員(役員を含む)20歳~64歳の男女1074名
- 調査方法:内部通報分析
- 調査期間: 2020年1月~4月
- 調査方法:当社サービスの第三者内部通報窓口「リスクホットライン(以下、RHL)」に寄せられた通報を匿名化し、内容を検証
- 調査対象:総件数615件のうち新型コロナウイルス関連の通報104件(約17%)のうち、無作為に抽出した50件