「契約してもらわないとクビに……」ダメ営業のクロージング
クロージングでは、「〇〇さんに契約してもらわないと、クビになってしまいます。お願いですから契約してください」と拝み倒したこともあった。
本当にお恥ずかしい。
しかし、そんな営業がうまくいくはずもない。お客様にとって“私がクビになるかどうか“など関係のない話ですから。

その後、私は営業スタイルを根本から変えた。一切の売り込みをやめ“お客様が本当に必要とする情報”を提供するようにしたのだ。
当時、私が扱っていたのは住宅。お客様が本当に欲しがっていたのは成功事例ではなく“失敗事例”だった。そこで、私はオーナーのお客様から「家を建てたあとに後悔したこと」をヒアリングし、それを編集して情報提供した。
- 「もっと洗面所を広くすればよかった」
- 「コンセントを増やしておけばよかった」
- 「窓を大きくすればよかった」
このような リアルな後悔エピソード を伝えることで、「この営業スタッフは本当に役立つ情報をくれる」と感じてくれるように。
それからはお客様のほうから「菊原さんに相談したいのですが」と連絡が来るようになったのだ。結果として、売り込みをしなくても契約が獲得できるようになった。
短命に終わる営業スタッフの共通点
No.1ホステス、トップ営業スタッフ、成功者に共通する考え方として「自分から買うかどうかは別として、これだけは伝えたい」 というスタンスで活動している。
「お客様のためになる情報を伝える」もしくは「お客様にとって役立つ行動をする」といったことを続けている。だからこそ、お客様は「この人の話は信頼できる」と感じ、自然と契約につながる。
逆に短命に終わる営業スタッフは「人から奪おう」という気持ちが強い。かつて、生保業界のトップ営業スタッフBさんが独立したことがあった。Bさんは、その場でクロージングする能力に長けており、在籍時は驚異的な成績をたたき出していた。
ただ、Bさんには“お客様に役立つ情報提供をする”という発想がなかった。会社で集客したお客様をクロージングできても、見込み客と信頼関係を築くということはできなったのだ。
その後Bさんが活躍している話はまったく聞かなくなった。どんなに凄い人でも、価値を与え続けなければ短命で終わるということをBさんが教えてくれた。
営業とは“お客様にもの売ること”ではなく“お客様の役に立つこと”である。この考え方を持ち、実行できる人が長期的に結果を出し続けるのだ。