セールスとともにNPSを追った原体験
――まずは、菅野さんのキャリアについて教えていただけますか。
もともとは、カウンセラーになりたくて大学では心理学を専攻しました。就職活動のなかで、何が自分に向いているだろうと改めて考えたときに「みんながもっと明るくなる社会にしたい」と思ったんですね。そこにもマイナスをゼロに近づけていくことと、ゼロをさらにプラスにしていくことがあって、私は後者が好きで向いていると思ったのでエンタメ系の会社を中心に受け、新卒で株式会社ポケモンに入社し人事を担当しました。
人事と並行して、CSRというかたちで地域活性にも取り組みました。当時は東日本大震災が起きたあとで、東北をポケモンというコンテンツで元気にするという活動を行っていたんですね。活動を通して、NPO法人の方たちなどに出会いました。その方たちはとても意義のある活動をしているのに、情報発信力がないため広く知られておらず、それが原因で活動が継続しないという状況に陥っているのを見てきました。そのとき、これからはデジタル・ウェブの力が必要だと感じたんです。社内にもメディアの事業などはあったのですが、専門にやっているところでしっかり勉強しようと思い、デジタルマーケティング支援を行っているビービットへ転職しました。
――ビービットではどういう役割を担われたのでしょうか。
自社開発した広告測定ツールを導入いただいている企業のサポートを担当していました。「ユーザー中心」を大事にしている会社で、私が入社した2016年ごろからブランドに対する顧客の愛着度を数値化する「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」などを活用していました。まだ、NPSは走りのころでしたね。大手製薬会社から、ECサイトや不動産まで4~50社のクライアントを抱えてウェブマーケティングについて学びました。
所属していた部署はCRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)という名前だったのですが、あるときからセールス・CRMの共通指標としてNPSを追うことになりました。いくら導入が進んでもサービスを活用してもらわないと顧客の満足度が上がらず、解約されてしまうからです。セールスも売上だけではなくて、半年後のNPSを一緒に追っていくようなかたちになって、がらっと組織が変わったと感じることができました。導入はゴールではなく、顧客の期待を満たすことが価値を提供することなので、そこに全力を尽くさなければいけないということを学びましたね。
――その後、ベンチャー企業でのディレクター経験も積まれて、ベースコネクトに入社されたのですね。
結婚して、子どもが生まれ、妻の実家もある京都で暮らそうと思ったときに、自分が働きたい条件に合致したのが弊社だったのです。「採用担当」で募集が出ていたのですが、実際に代表に会ってみたところ、マーケティングマネージャーをやってみませんかと言われました。目標を設定して細かくやっていくというマーケティングの仕事は自分の性分に合っていると思ったので、チャレンジすることにしました。未経験でしたが、最終成果から逆算していくというのは、人事と近い仕事だと思っています。
ベースコネクトは、「世界中のデータを繋げることで、ダイレクトに必要な情報にアクセスできる世界を作る」ということをミッションに掲げているベンチャー企業です。情報が多い現代は便利なようでいて、何が正しく、自分に役に立つか、見極めるのが難しい時代でもあると思います。そこで法人営業の方に向けたサービスとしてローンチしたのが、企業情報を提供する「BaseconnectLIST」というサービスです。
ほかにも企業情報を提供している企業はすでにありますが、弊社サービスのいちばんのポイントは自社で定めた規則にのっとったかたちで人力でデータを生成していて、正確だというところです。リサーチャーやデータの編集にかなり多くの人員を割いています。たとえば社名ひとつとっても頭文字の大文字・小文字や、英語・カタカナ表記などで揺れていて、せっかく営業がデータをためても情報が統一されておらず活用できていないという問題がありますよね。マスターデータとして弊社の正しいデータベースを活用してもらえば、そういった問題が発生しません。情報を正しいデータベースもとに管理すれば、営業の効率を高めることができます。