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「顧客には課題があるはず」の思い込みを捨てよ! 新規開拓営業に立ちはだかる「引き合い対応」慣れの罠

 7ヵ国での累計500回以上の商談・プレゼンテーション経験を活かし、BtoB営業組織に向けて企業研修を提供する営業コンサルタントの城野えんさんが、昨今のIT企業を取り巻く営業課題を考察・解明する本連載。第2回のテーマは「『待ちの営業』と『攻めの営業』の違い」です。「待ちの営業」スタイルのまま新規営業に挑むことで生じるデメリット、「待ちの営業」で活用していた営業資料を新規営業でそのまま使い続けてはいけない理由などを事例を交えながら解説いただきました。

「待ちの営業」と「攻めの営業」の最大の違い

 前回の記事「『攻めの営業』へ転換せよ! 顧客からの引き合いを待つ『待ちの営業』を脱するべき理由」では、顧客からの引き合い案件に頼る「待ちの営業」のままでは新規案件の受注が難しくなってきていること、そしてそれに伴い、営業パーソン自らが能動的に製品やサービスを提案していく「攻めの営業」への転換が求められていることをお伝えしました。

 そもそも「待ちの営業」と「攻めの営業」の違いはどこにあるのでしょうか。大きなポイントとなるのが「顧客のニーズが顕在化しているかどうか」です。

 

 まず、ニーズが顕在化されている状況であれば、営業の仕事は必然的に「ヒアリング」と「既存の製品紹介資料を活用した説明」が中心になります。具体的には、顧客の現状の課題を聞き出すと同時に予算感やスケジュールを探り、最適な製品・サービスを紹介する、という流れになるでしょう。

「この製品に興味がある」と製品名を指定されたうえで問い合わせがあった際には、まずは「興味を持ったきっかけ」をヒアリングして顧客自身の現況を聞き出します。その流れで製品の機能説明と質疑応答を行ったのち、次のステップの相談をする――これがもっとも一般的な初回商談の流れではないかと思います。

 こうした「顧客からの引き合い」をきっかけに、ヒアリングと製品紹介を中心に商談を展開する「待ちの営業」スタイルは、顧客に最短ルートで必要な情報が届けられ、営業にとっても事前準備がほとんど必要ありません。その効率の良さから、非常に多くの営業現場で採用されている手法です。

「待ちの営業」は、担当顧客がある程度固定されていて、かつ顧客との関係性が強固な営業チームや、知名度やブランド力のある製品を持つ大手企業の営業チームで多く見られます。もちろん、会社から表彰されるような優秀な営業パーソンが在籍していることも珍しくありませんし、「待ちの営業」そのものは「決して間違いではない」ということは声を大にしてお伝えしたいです。

 しかし、昨今は引き合い案件数・規模のそれぞれが減少しているため、「待ちの営業」スタイルを長年実践していた営業パーソンに試練が訪れています――まだ明確なニーズがない(潜在的にはあるかもしれないがまだ顕在化されていない、あるいは顧客自身がニーズに気づいていない)顧客に対しても積極的にニーズを開拓していく「攻めの営業」をするよう指示する企業が増えてきているのです。

 すでに売れ行きが好調な既存製品を拡販する営業パーソンに対して「来月リリース予定の新製品を売ってきてほしい」というミッションが与えられたり、既存顧客へのクロスセル・アップセルをかけ続けてきた営業パーソンが「これまで注力してきた顧客層とは異なる、新規顧客層の開拓をしてくれ」と命じられたりするなどのケースが、決して珍しい光景ではなくなってきています。

 営業パーソンたちは、これまでのやり方で十分な成功体験を積み上げてきているため、新製品拡販や新規顧客開拓などの「攻めの営業」の場においても、長年の引き合い案件対応で培ってきた「待ちの営業」の手法で営業をしていきます。すると、彼らの予想に反して「商談が次に進まない」「顧客の反応が悪い」「ヒアリングしてもはぐらかされてしまう」と、苦戦を強いられる様子が散見されます。原因はいったい何なのでしょうか。

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