心理学的テクニックを「素」でやること
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ジェイ 僕は営業に限らずですが、仕事がツールやテクノロジーで平準化され、AIで自動化されていくのは良い世界だと考えています。人にしかできないことができるようになったうえで、良い競争が生まれるのではないかと考えているからです。
中谷 人間というところに立ち戻ると心理学の領域に入っていきますよね。ジェイさんがおっしゃっていたどうやって信頼を築くかというポイントですが、方法はふたつしかありません。「好感を持たれること」「その道のプロになる」、これは僕が商談のゴールデンスタンダートと呼んでいるものの一部です。センスや経験ももちろんありますが、これらは商談のなかで狙ってできることでもあります。好感を獲得したければ、社会的望ましさを体現する、などです。また、表情だったり「好意の返報性」という考えかたを利用したり。
ジェイ 僕も返報性や、単純接触効果の話とか好きです。
中谷 プロとしてのポジション獲得もある程度は、狙ってできることです。まずは顧客や業界特性をしっかり学ぶ。業界あるあるを2~3知るだけで詳しく思われることもあるでしょう。あとは、顧客の興味がある話題に対してこちらのほうが多く情報を持っている状態を保ちつつ、中立的に伝えること。社会人1年めでも可能です。Sales Techが普及したあとの営業が輝くためには、信頼とか人間力と言われる部分をどれだけ科学できるかではないでしょうか。
ジェイ ただ、それは中谷さんがみたいな人がやることに意味があると思う。それしかやらないと「営業は人間力だ!」に戻ってしまう。ロジカルな営業に関して発信をしている人が、心理学のまとめもやったら面白いのではないでしょうか。ぜひ、やってください(笑)。
一方で信頼を築くためにいちばん大事なのはそれらを「素で」やること。「相手の仕草を真似する」というとが、相手にバレてしまったらめっちゃ気持ち悪い。「こいつ、ミラーリングをやっているな」とか思われたら終わりですよ(笑)。だからそこに、クリエイティビティが必要なんですよね。

中谷 本当に、そうですね。
ジェイ どうやれば素でやれるか突き詰めて考えると、単純に相手を成功させたいという気持ちがあれば、素でできることに気がつきました。「受注したい」が前に来ると、できません。
中谷 「受注したい」だと上滑りしますよね。
ジェイ プロダクトを愛しているかも大切です。ただ、最初から愛せないとは思いますよ。恋愛と一緒。営業の役割としてお客様の要望を伝えて、サービスを良くしていく過程で好きになっていくように思います。「事業開発セールス」と名乗っているのは、売上はもちろん大事ですが、顧客の声を聞いてプロダクトフィードバックをしていくことも同じくらい大事だと思っているからなんです。ハッキングは順番が大事ですよね。テクニック論から入っていくといけないなあと。