2019年10月23日、ドーモ株式会社は新組織体制と今後の成長戦略についての記者説明会を実施した。
冒頭、Domo,inc. ジョン・クラーク氏がIoT市場の可能性について語った。IDC Japanの発表によれば日本でも2022年に10兆7,000万円の市場になると予測されているという。そしてIoT市場のなかでは、製造業のマーケットが突出している。日本においては、GDPに占める製造業の割合がもともと大きく、その製造業のIT化により国力を高めていこうとする政策が重なっていることが要因だとクラーク氏。同氏は「IDCの調査結果は、ドーモジャパンが日本の顧客と顔を合わせて感じている顧客ニーズと一致している」としたうえで、下記のように今後について意気込みを述べた。
「ドーモジャパンは、グローバル企業にありがちな、本社である米国発の事例を日本に横展開するという発想だけではなく、チャンスが大きい日本市場をユニークなものして捉えます。日本の顧客ニーズを正しく理解し、要望に合うソリューションを提供し顧客をサポートして、成果事例をつくったうえで、逆に世界に展開していく戦略をつくっています」(クラーク氏)
日本の成功事例を海外に向けて発信し、海外市場を日本からもリードしていくために、グローバルGMであるクラーク氏自身が日本に駐在することで日本マーケットおよびにドーモのグローバルIoT活動を支援していくとのこと。
続けて同氏はドーモジャパンの体制強化のため、新たに受け入れたエグゼクティブのリーダーとして8月に代表取締役社長に就任した萩野武志氏と10月に取締役会長へ就任した高橋慎介氏を紹介した。
社長・萩野氏は就任以前、OpenTextグループ日本法人の代表取締役社長としてEIM(エンタープライズ情報管理ソリューション)を展開してきた。非構造データのガバナンス領域を取り扱ってきた萩野氏は、今回よりフロントエンドに近いドーモの世界にジョインしたこととなる。
会長・高橋氏はIBM、日本マイクロソフトなどの大手IT企業に在籍し、直近ではシスコシステムズ合同会社の執行役員を務めていた。インフラに携わったのはシスコシステムズが初めてだったというが、IoTなどの領域においてもデータやアプリケーションを活かすためにはソフトウェアに応じたインテリジェントなネットワークが必要であり、ようやくその整備への着手が企業のなかで始まっていると感じているという。しかし、その上を走るデータを活用するためのデータ間をつなぐプラットフォームが欠けていると考えていた。
シスコシステムズ自身が、Domo社の最大手ユーザー。高橋氏は初めてDomoに出会ったとき「こんな使いやすいものがあるのか」と感銘を受けたというが、とくにマーケティング組織においては、いろいろなデータソースから案件結果の要因分析をするのに優れているという。高橋氏は「単なるダッシュボードではないという価値を、社長をサポートしながら、後述するパートナー制度によって浸透させていきたい」と述べた。
説明会後半では、萩野氏が今後の事業方針を説明。「日本市場におけるさらなる成長に向けた事業展開」のための3つの柱について解説した。
1.お客様へグローバル知見を展開
日本でもDomoは「売上を伸ばす」「コストを削減する」「生産性をあげる」など、あらゆる経営指標に対して活用されているようになってきた。本社と日本がシームレスに一体となることで、グローバルのベストプラクティスや知見を、日本市場に迅速かつ適切に提供していくこと目指す。
2.セグメントベースのアプローチ強化
データ活用は一部門にとどまらない。あらゆる部門のなかでデータ活用が発生し、今後は企業間、もしくはBtoBtoCなどの活用も考えられる。あらゆる顧客へ効率的・効果的に製品を展開していくために、顧客を企業規模で5つのセグメントに分けていくという。分かれたセグメントに合わせて、ダイレクトセールス、パートナーセールス、マーケティング施策、コンサルティング、導入後の成功のためのカスタマージャーニーをつくっていくチームなどを適切に配置をすることで顧客の導入と活用をサポートしていく。
3.お客様およびパートナー企業のCxO(経営層)との連携を強化
データ活用におけるCxOクラスの理解とリーダーシップを促していく。パートナー戦略については業界経験が豊富な高橋氏を中心に進めていく。高橋氏はドーモのチャネル戦略に課題があると考えているという。新しいGo-To-Market戦略として下記4つのパートナーの拡大へ力を入れていく。
1.セールスチャネルパートナー
これまでのパートナーに加えて、中堅企業にもアドレスできるようなルートをつくっていき、マーケット認知を高めていく。
2.テクノロジーパートナー
DomoのApp Storeで販売するようなコネクタをつくる、自社製品にドーモのデータを組み込むなどを行うパートナー。付加価値を持ったうえで、ドーモ製品を担いでもらう。
3.コンサルティングサービスパートナー
いわゆるシンプルなBIではなく、ビジネスのオペレーティングシステムのため、顧客に本当に活用にしてもらえるようなコンサルティングを行ってもらうパートナー。
4.プラットフォームパートナー
AWSやGCPのようなクラウドプレーヤー。KDDI、ソフトバンクなどのキャリアカンパニー。すでに業種ごとに顧客へデータサービスを提供しており、新たにそこにマーケットデータを追加してきたいような企業など。
社長・萩野氏の下記の言葉で会見は締めくくられた。
「データはますます膨らんでいきます。5Gも来ますし、IoTによる旬なデータも発生します。企業にはデータ活用で経営力を高め、事業を拡大してもらい、国際競争力も高めてもらいたい。データ活用の輪を通じて、必ず日本市場を成功に導いていきたい。繰り返しとなりますが、データ活用を必ず日本で成功させたい。その方針で日本で事業運営を行っていきたいと考えています」