顧客視点で設計する「人×AI」の最適なバランス
価格査定や収支計算といった定量的な判断領域では、AIによる査定機能やシミュレーションツールの登場により、かつて専門家に依存していた業務をオーナー自身が行えるようになりました。こうしたオンラインツールの普及により情報の非対称性が解消され、誰もが客観的なデータに基づいて初期判断を下せる環境が整っています。
一方で、「売却すべきか、持ち続けるべきか」といった中長期的な投資判断や、人生設計を見据えた意思決定には、依然として“人の力”が不可欠です。1人ひとりのオーナーの感情や背景、価値観に寄り添い、データだけでは読み取れない“本音”にアプローチできるのは、人間ならではの役割だと考えています。
パートナーズでは、人の役割を「お客様に寄り添う業務」、テクノロジーの役割を「情報提供や判断支援の効率化」として整理し、営業活動のどこまでをテクノロジーで補い、どこからを人が担うのかを明確に分けることで、それぞれが得意とする領域で補完し合い、オーナーにとって納得感のある売却体験を提供しています。これにより、「AIを活用した次世代の不動産営業」のあり方を追求しています。

大切なのは、どの割合が最適かを営業が決めるのではなく、お客様の状況や気持ちに合わせて柔軟に設計することです。たとえば、ECサイトがこれだけ便利で手軽になった現代でも「人に相談してから買いたい」と思う場面があるように、不動産においてもお客様の価値観や習慣、タイミングによって、心地良く感じる体験はさまざまです。
オーナーの「ここまでは自分で調べたい」「この部分はプロに任せたい」といったニーズに対し、「人:テクノロジー=8:2」や「人:テクノロジー=1:9」、場合によっては「人:テクノロジー=0:10」といった、自ら判断・操作されるお客様向けの顧客体験が最適な場合も有り得ます。人によるきめ細やかな寄り添いとテクノロジーによる効率化の両輪で、1人ひとりに最適な顧客体験を提供していくことが求められます。