アメリカ本社と同じKPIで、成長が停滞
鈴木氏自身は、2010年にインサイドセールスのメンバーとしてセールスフォース・ドットコムへ入社。その後、外勤営業を経験し、インサイドセールスのマネージャーになり現在5年めだという。
「インサイドセールスに関しても順調に伸びているのではないかと言われることも多いのですが、けっこう違います。ある程度のところまではもちろん伸び続けていたのですが、あるとき危機的な停滞期を迎えました。そこから我々が何をして安定成長まで持ち直したかについてフォーカスして話していこうと思います。みなさまがあえて同じ間違いをする必要はないと思うので、これを参考にしていただければと思います」
そうセッションを切り出した鈴木氏は、同社のインサイドセールス高速スケールのポイントについて「適切な人材配置」「KPI設定」「他部門との情報連携」「教育トレーニング」の4点に絞って解説した。
セールスフォース・ドットコムのインサイドセールスが停滞した大きな要因のひとつが「KPI設定」だったという。立ち上げ当初からある時期まで、アメリカ本社とまったく同じ「アポイントメント件数のみをKPIとする」スタイルで日本法人のインサイドセールスも運用されてきていた。
アポ数だけを指標にすると起きる現象が「インサイドセールスのテレアポ部隊化」だ。アポだけとっていると、他部署からの評価は下がるうえに、単純作業が続くことでメンバーのモチベーションも下がっていく。それによって離職率がかなり高くなってしまったという。
なぜアメリカではそうならなかったか。本国のセールスフォース・ドットコムは圧倒的に知名度がある会社であり、アメリカではインサイドセールスという仕事もある程度根づいていて、社会的にも評価されているという。そういう背景から、アポ件数だけを追っていても問題なかったというわけだ。とにかく本国と同じやりかたではいけないと思い、ローカライズしながら、4つのポイントを見直していった。