営業に必須の「ラポール」 築いても売れない営業も?
トップ営業スタッフのセミナーを聞きに行ったときのこと。講演が終わり、質問コーナーになった。若い人が手を挙げ「トップになる秘訣をひとつだけ挙げるとしたら何でしょうか?」と質問した。
難しい質問だ。“ひとつだけ”と言われると一気に難度が上がる。「どんな回答をするのだろう」と思って聞いていた。
そのトップ営業スタッフは少し考えて「お客様とラポールを築くことです」と答えた。営業の現場におけるラポールとは営業スタッフとお客様の相互の信頼関係のことを言う。私はその答えを聞いて深く納得した。
私自身、取材などで「営業で結果を出すために大切なことは何ですか?」という質問をよくいただく。
・コミュニケーション能力
・行動量、モチベーション
・人間的魅力
・信頼関係 etc...
さまざまな回答が思い浮かぶが、もし「ひとつだけお答えください」と聞かれたなら「お客様の警戒心を解くこと」と答える。これは結果を大きく左右するからである。
お客様が警戒している状態で「さっそくですが、当社の商品の特徴とメリットを説明しますね」とセールストークを始めたらどうだろう? お客様はさらに警戒心を強める。力説すればするほどますます売れなくなるのだ。これは私自身がかつてハマっていた過ちだ。
結果を出す営業スタッフはなにげない雑談から入り、緊張感を和らげる。お客様との共通点を見つけ警戒心を解き、ラポールを構築する。それから話を展開させていく。だからうまく話が進むのだ。これができる人は成績優秀者が多い。
しかし、“ラポールは築くが、売れない営業スタッフ”も存在している。あなたの近くにも“お客様とやたら長く話をするのに売れない”営業スタッフがいるだろう。この手のタイプはお客様と仲良くなるものの、肝心な話ができていない。お客様のお悩みを引き出せず、的外れな商品を提案してしまう。これでは結果は出ない。
結果を出している営業スタッフが行っているのは、警戒心を解くことだけではない。